2007年10月2日火曜日

【映画】フラガール‐地上波初登場!

 ついに映画「フラガール」が地上波登場ですね。10月6日のCX系「土曜プレミアム」で放送されます。

→フジテレビのサイト

 フジテレビとしては、「わが社が作った路線を横取りされた!」な気持ちもあるんでしょうか?それでも地上波初放映というのは、相乗効果(どさくさ紛れ)でフジTV作品ももう一売りするつもり?(笑)

 実はこの映画、最近一番のお気に入り(おせーよ)。“主役が隠し芸大会よろしく特訓したのでお披露目します”的な映画(ぉぃ)、好きです(爆)

 ただ、個人的には
ウォーターボーイズ<スウィングガールズフラガール
ですね(繰り返し観たいと思う頻度で)。

 フジTVが制作して鳴り物入りで公開された他の2作と中堅?のシネカノンが制作して口コミで評判が広がったフラガールは厳密にはコンセプトも違う。フジテレビの2作は高校生の部活の話だけど、フラガールは人生を賭けた挑戦の物語…って書くと大袈裟?

 映画の構成上どうしてもラストのダンスシーンが注目されて、蒼井優の踊りの素晴らしさが語られることが多いけれど(実際そのとおり)、ダンスシーンがなくても蒼井優は素晴らしい女優だなと、演技力は若手ではピカ一だなと思いました。この女優の表現力はいったいどこから来るものなんでしょう?

 「スウィングガールズ」や「のだめカンタービレ」の上野樹里も演技が巧い…ただし本人が納得してないと駄目というかムラがある(苦笑)…けれど、蒼井優は本人が「自分は個性がないところが個性だ」と言ってるとおり、見事に映画の中の登場人物になり切りりますね。

 周りを松雪泰子←主演(メインクレジット)はこの方ですよ(笑)、富司純子、豊川悦司、岸部一徳という錚錚たるメンバーに囲まれながらも見事な演技を見せてくれています。

 彼女が踊るダンス同様、常に指先まで神経が行き届いているかのような演技、ベタながらストーリーもそこそこ面白いので見飽きることがありません。ドラマでの一番の注目はやはり蒼井優の演技でしょう。

 他の役者では富司純子さん。もう安心して観ていられますね。相変わらず凄い迫力です。

 それから豊川が意外と良い演技しています。オールヌードまで披露して頑張ってます(爆)
 あと、隠れお気に入りは池津祥子さん。やっぱ良いわぁ、良い仕事しますわぁ、大人計画(笑)

感想など《以下盛大にネタばれ》

 紀美子は見事なまでにいなかっぺな女子高生で登場。かなり気は強いがちょっと斜に構えているようなところもあって積極的に人前へ出て行くタイプではなさそうな娘。そういう微妙な役設定を蒼井優が見事に演じてます。

 紀美子の家は母子家庭で母親は母・千代と兄・洋二朗の3人暮らし。
母:富司純子(60)、長男:豊川悦司(45)、長女:蒼井優(21)-()内は公開当時の年齢
洋二朗は前妻の連れ子か?偉く大胆な家族構成だぞ(笑)

 この千代が炭鉱で働き、婦人会の会長も努めるという役どころ。旦那を炭鉱の事故で亡くした後、洋二朗が職につくまで女でひとつで家庭を支えて来たという役柄は富司純子さんぴったり。迫力十分であります。

 紀美子と早苗は親に内緒でダンス学校に通い始めるも、紀美子は学校を欠席したうそがすぐばれて、勘当同然に家を飛び出し、早苗は父親に内緒でダンスを続けます。

 一方、ダンス学校の先生、まどか(松雪泰子)は大酒飲みで借金まみれという役。実際にモデルとなったカレイナニ早川常磐音楽舞踊学院最高顧問は大酒飲みでも借金まみれでもなかったそうで、この辺の設定は不要なんではと思ってしまいました。実際、後半でこの設定でストーリーが破綻してます。

 紀美子が本気でダンスに打ち込もうと決心したのは反発していたまどか先生がひとり踊るタヒチアンダンスを見てから。でも、よーく見ると松雪泰子は大して腰を振って踊ってないんですね。なんだかスローでごまかしている感じで切れも悪い。終盤で2度同じダンスを踊る蒼井優に完全に負けています。

 その蒼井優のダンスの方はネットで練習風景の映像見つけたけれど、きちんと腰振って踊ってます。蒼井優のステージのリハーサルでは松雪泰子が「優ちゃんすごい」って感動して泣いてます(某有名動画サイトで見られます)。

 このダンススクール開始時の生徒数があらすじ(後掲)にある4人。紀美子たちの真剣さに平山もまじめに指導に取り組み始める。そして相次ぐ炭鉱の雇用削減で家計を支えようとメンバーが増えていく。

 最初の4人でさえ、まどか先生に「一生ダンスなんて無理」と言われていたわりには、いきなりみんな上手に踊りだしますね(笑)

 ここで、まどかのところへ借金取り(寺島進)がやってきて、間に入った洋二朗に自分が「エイト・ピーチェス」だったことを話します。ちなみにSKDでエイト・ピーチェスが結成されたのは昭和31年なので、それから9年経っているってことですね。

 で、まったくの余談ですが義父の親友の夫人がエイト・ピーチェスだったそうで、家内が子供の頃、そのおじさんの美人なのでびっくりしたら「もうおばさんだけどね」と照れながら教えてくれたそうです。当時はSKDの看板娘でかなりのアイドルだったらしいです。

 紀美子をフラダンスに誘った親友の早苗は、家で妹弟たちに衣装を着て見せているところに炭鉱を解雇された父親(高橋克実)が帰って来て修羅場に。

高橋克実演じる暴力的な親父の役。
ここのところ、とぼけたおっさん役が多いだけにびっくり。

…まぁ、ヤマの男ですからね。そしてばさばさに髪を切られて顔を腫らした早苗を見てキレるまどか先生はヤマの男以上(爆)。
 血相変えて木村をぶっ飛ばしに銭湯に乗り込む文字通りの体当たり演技を見せてくれます。ここで紀美子の兄がオールヌードを披露して笑わせてくれます。

 結局職を失った早苗一家は夕張炭鉱へ引越し。翌日からキャラバンが始まるというのに、ショックで練習に身が入らない紀美子を平山が叩いてしまい、紀美子はダンス場を飛び出す。

 朝青龍ホームシックになって何とも情けない顔して、自宅で仕事している母をストーキング覗く紀美子を兄が見つけ、居酒屋へ。

 映画とは言え18歳の娘っこにコップ酒飲ませていいんかい?
ってか、コップ酒一杯を一気飲みしても顔がほとんど赤くならない紀美子は酒強すぎ(笑)。

ただ顔を赤らめるメイクをするのではなく、細かい仕草で酔ってる雰囲気をちゃんと出してます。芸が細かいぞ。
 そして、二人のやりとりが兄妹らしい。酒が入って明るくなった紀美子の表情がとても良いですね。この時の蒼井優は21歳なんですが、抵抗なく高校生に見えます。

 最近の留年生だらけみたいな無理やりな高校生が多い学園ドラマは見習え(爆)

ってこの時は既に中退状態か?^^;

 兄のおかげで吹っ切れてキャラバンに参加する紀美子。「ごめんなさい」の代わりに平山に「イーッ!」って笑顔をするのが可愛い。ところが、初めてのキャラバンは緊張し過ぎて大失敗。平山の呼びかけも聞こえず、無理やりな笑顔を作ったまま一人練習する紀美子といつまでも壁と会話している小百合(しずちゃん)が笑わせてくれます。

 ついには観客と喧嘩おっぱじめる紀美子(気が強ぇえ!)
洋二朗が言ったとおり、かーちゃんも先生も紀美子も女は強ぇえ←ちょっと意味が違う

 バスの中で失敗の責任をなすりあい喧嘩を始めるメンバーに切れる平山。何とも切れやすい先生だ(笑)

 2回目以降は平山の元にメンバーの気持ちもひとつとなり、リーダー紀美子が小百合や初子をうまくフォローし、キャラバンも順調に進みだし、評判が評判を呼ぶようになる。
 最初はぎこちなかった紀美子の笑顔が実に美しい笑顔に変わる。
画像

 ロングドレスを着て優雅にハワイアンを踊るシーン、短いシーンだけど蒼井優の笑顔が本当に輝いています。このシーンだけをずっと見ていたいと思うくらい良い表情をしています。

 「この人はいったいいくつの笑顔のパターンを持ってるんだ?」と思うくらい豊富な表情を見せてくれます。おぢさんぞっこん^^;

 それが、キャラバン公演後のバスのシーンではいかにも普通のいなかっぺの表情してるんですよね。

 で、炭鉱とくればどうしても避けて通れないエピソードが落盤事故。小百合の父親が事故に巻き込まれてしまいます。

 ここからはしばらくは無理やりな展開な気がします。

 小百合の父が落盤に巻き込まれたことを知って、まどかは公演キャンセルを決断するが、小百合が「父はきっとそうしろと言う」と舞台に立ち、その夜村人に非難されると「指示した私の責任だ」と言い出す。

 普通ならここで責任を取るのは吉本部長(岸部一徳)でしょ?借金まみれで行く場所もない筈なのに簡単に町を去る決心をするというのはいかにもドラマ的な展開。

 この後、温泉工事の遅れで椰子の木が枯れそうになり、裏切り者扱いのハワイアンセンターの職員が労組の役員に土下座してストーブを借りようとする、千代が早苗から届いた郵便物を紀美子に届けに行き、初めて紀美子のダンスを見る、町を去ろうとするまどか先生を紀美子がフラダンスの手話で引きとめようとするという3つのエピソードが絡みながら常磐ハワイアンセンターのオープンを迎えます。

 ここではダンス学校での蒼井優と富司純子の無言の会話が見もの。練習場で千代に見つめられながら一人ダンスを続ける紀美子。二人とも終始無言ですが、今の自分を見せたい紀美子とそれを見て自分の先入観が間違いだったことに気づく千代の心情の変化が見事に表されてます。
 その後、気車で町を去ろうとするまどか先生にフラダンスの振りで気持ちを伝える紀美子、何とか涙を堪えながら思いを伝えようとする表情がまた素晴らしい。

 蒼井優と富司純子の演技を見せたいがために無理やりな展開に持っていった感はありますが、それだけに見応えは十分です。

 最後のダンスは語る必要もないでしょう。ただ、タヒチアンダンス終了後にみんなが泣き笑いする顔をいつまでも映す必要は無かったような。あのシーンがなくてもダンサーの気持ちは十分観る者に伝わってると思うのですが。そこは上野樹里の笑顔でストップモーションにした「スウィングガールズ」の勝ちかな?

 でも、ノスタルジックな雰囲気も漂わせながら、高度成長期から転換期に移る日本の労働者の苦悩を織り交ぜつつ、これだけのドラマを作ったというのは評価できると思います。

・・・って、理屈抜きに見ても楽しいです(笑)←ぉぃ

《Story》(公式サイトから)

昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。
“求む、ハワイアンダンサー”の貼り紙を見せながらここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、 早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)を誘う。
男たちは、数世代前から炭坑夫として、女たちも選炭婦として、働いてきた。
だが今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。
この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」だった。

紀美子の母・千代(富司純子)も兄・洋二朗(豊川悦司)も炭鉱で働いている。
父は落盤事故で亡くなった。母は「百年も続いたウヂの炭鉱は天皇陛下までご視察にいらしたヤマだぞ」と自慢し、炭鉱を閉じて“ハワイ”を作る話に大反対。
それでも紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かけるが、ほかの娘たちは、初めて見るフラダンスの映像に、「ケツ振れねえ」「ヘソ丸見えでねえか」と、逃げ出してしまう。
残ったのは、紀美子と早苗、それに会社の庶務係で子持ちの初子(池津祥子)、そして父親に連れてこられた一際大柄な女の子、小百合(山崎静代~南海キャンディーズ・しずちゃん)だけだった。

そんな中、娘たちにフラダンスを仕込むために、ハワイアンセンターの吉本部長(岸部一徳)は東京から平山まどか先生(松雪泰子)を招く。本場ハワイでフラダンスを習い、SKD(松竹歌劇団)で踊っていたダンサーだ。最初は田舎町を軽蔑し、ど素人の娘たちに踊りを教える意欲もないまどか先生だったが、紀美子たちの熱心さに次第に真剣になっていく。
実はまどか自身が母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になっていたが、ひたむきな娘たちと接するうちに夢を持つ大切さを思い出していた。そんな彼女の教えは、どんなに辛い時でも「スマイル」、笑顔をなくさないこと。
しかし、世間の風当たりは依然強く、さらに予期せぬ出来事が起こり・・・。
果たして常夏の楽園は誕生するのか?無事に笑顔でオープンの日は迎えられるのか?

フラガール メモリアルBOX

4 件のコメント:

  1. はじめまして。
    フラガール、良いですね。先日のテレビで初めてみたのですが、感動しました。
    実際の先生は借金無かったんですか。作りこみだったんですね。なんか、ちょっともったいない気がします。
    TBありがとうございました。

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  2. こんばんは。TBありがとうございます。
    ��度目ながらもグイグイと作品の世界に入り込み、最後までやはり観てしまいました。
    先生のキャラ、面白いですよね。
    蒼井優と富司純子は素晴らしかった。
    「スウィングガールズ」「ウォーターボーイズ」も面白かったですけど、これは生活がかかってますから感動も一入です。

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  3. さとし@快投乱打2007年10月15日 9:22

    りょーこ♪さん>
    実話ベースとはいえフィクションなので色々とエピソードを詰め込んだのでしょうが、大酒飲みとか借金という話しがなくても十分見せられる内容だと思います。
    でも、それも許せるだけの映画になってますけどね。

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  4. さとし@快投乱打2007年10月20日 19:31

    たまさん>
    蒼井優が細かいところまできちんと演技してるんですよね。
    富司純子も毅然とした部分と人情に篤いところが本当にはまり役でした。
    DVDで何度も見返してしまいました。

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