2007年10月22日月曜日

イタ飯は楽しく!

 一日中穏やかな天候だった日曜日の夕刻、私たち家族はカーステレオから流れる「福山雅治のSUZUKI Talking F.M. 」の洒落たトーク(違に耳を傾けながら、国道17号線を北上し荒牧町にあるイタリア料理店、ボナ・フォルケッタ(Buona Forchetta)へ向かった。

 ボナ・フォルケッタ(Buona Forchetta)は私たち家族が行った市内のイタリアレストランの中ではコスト/パフォーマンスが最上の部類に入る。ディナーセットだと1500円相当で前菜、パスタ、デザート、ドリンクを自由に組み合わせて食べられる。個々の価格を合算した場合、約4割引きくらいになる。

 店についたのは午後5時頃。夕食にはちょっと早い時間だが、それには理由がある。この店の唯一の欠点は調理と給仕が遅いこと。店が混んでから入店すると簡単には食事にありつけない。空いているうちに店に入れば、食事が来るまで親子でゆっくり語らいながら待てば良いだけだ。

 そして調理が遅いのは訳がある。仕事が丁寧なのだ。メインのパスタはもちろん、ドルチェやドリンクにまで手作りのこだわりが見える。その辺りはこちら様こちら様のブログを見ていただきたい。

 テーブルに通され、4人テーブルで私と家内、娘と息子が組になって対面で席に座る。私と息子は窓側に、家内と娘は通路側で対面する形となった。

 ウェイトレスが持ってきたメニューでディナーセットの組み合わせを決める。結構種類が多いので、なかなか目移りして決められない。それもまた食事前の楽しい時間だ。

 前菜は家内と娘はタコのカルパッチョ、息子は生ハムのサラダ、そして私は地鶏そぼろのサラダだった。タコのカルパッチョは、タコと野菜を乗せた皿が先ず出てきて、その上からウェイトレスが熱々のオリーブオイルをかけてくれる。生ハムのサラダはお皿がちょうど隠れるくらいの2枚の大きな生ハムの上に野菜やチーズが盛られている。私の地鶏のサラダは、小さな木製のサラダボウルの上に野菜が盛られ、その上に鶏そぼろが盛り付けられている。

 前菜はどれも美味で、そのうち全メニューを制覇したくなる。

 ドレッシングはアンチョビのイタリアンと和風が用意されており、お好みでかけるようになっている。そのドレッシングもファミレスのような既製品がペットボトルに入っているようなものではなく、手作りで金属の口金がついた洒落たガラス瓶に入っている。ちなみに私はアンチョビのイタリアンがお気に入りだ。

 メインは、家内が渡り蟹のトマトソースのリングイネ、これはかなりの美味。渡り蟹の味がトマトソースに絡まって深いコクがあり、絶品と言っても良い味わいだ。「次回もこれにする」と家内。娘はえびのトマトソース。息子は魚介の塩味のパスタ。ペペロンチーノがベースで魚介を和えて、からすみがトッピングに乗っている。ここのからすみのスパゲッティは絶品だ。私は魚介のクリームソースにウニを和えたパスタ。ウニのパスタもからすみに負けず劣らず美味だ。

 ドルチェは息子がサンデー、後の3人は冷やした焼きりんごにアイスが乗ったもの。サンデーは季節によって中のアイス(3品)が変わり、今は紫芋のアイスが季節感を出している。焼きりんごの方は秋季限定のドルチェ。私は前回はサンデーだったので、次回はケーキを選ぶこととしよう。

 ドリンクは家内はパインジュース、娘はバナナジュース、息子はレモンソーダで私は大好きなシナモンコーヒーを頼む。息子のレモンソーダがお洒落で、レモン果汁とガムシロップに氷が入ったグラスとクラブソーダのビンがセットでやってくる。自分でお好みで作るということだ。しかも2杯分は作れる。前回ロイヤルミルクティーを頼んだ時もミルクや急須がべセットでやってきて、2杯以上楽しむことが出来た。

 ドルチェとドリンクを楽しみながら食後の時間をゆっくり過ごせるわけだ。時刻は午後6時を過ぎて店の入り口にはかなり待っている人もいるのだが「食事はごゆっくり」と言う気遣いが見られる。

 私たちの席の斜め前方のテーブルには1組のカップルが来ていた。その席は通路を挟んで向かい側にある2人用テーブルで、4人席とは90度テーブルの角度が違っている。したがって私の方からは奥の席に座った女性は右斜め前45度くらいから、男性は左斜め後ろ45度くらいからの角度で見えている。

 見た感じは、そんなに若いカップルではない。おそらくは30代か。女性は特に美人というわけでもなくブスというわけでもなく、お洒落をして来ているわけでもない。普通に夕食を食べに来ているという雰囲気。おそらくは子供のいない夫婦ではと思う。

 リーズナブルな値段でちょっとだけリッチな夕食をゆっくり食べられる。そういう店にふさわしい客層と言えるカップルだろう。

 そのカップルに驚愕の事件が起きたのは、私が食後のシナモンコーヒーを楽しんでいる時だった。

 カップルのところにウェイトレスが前菜を持ってきた。男性の前菜が何かはわからないが、女性は私と同じ木製のサラダボウルに野菜が盛られていた。おそらくは私が食べたサラダと同じメニューだろう。そして女性はテーブルにあったドレッシングを持つと、いきなり口金を引き抜いた!!

 「え?」

 思わず、私は目が点になった。ドレッシングの瓶には口金が付いた金属の蓋が被さっていて、その先端に黒い樹脂のキャップが付いている。当然ドレッシングをかけるには先端部のキャップを外すのだが、その女性は口金ごと引き抜いたのだ!

 一応言い訳をしておくと(笑)、別に彼女をストーキングしていたわけではない。可愛い可愛い愛娘の方を向いて話をしていると彼女が自然と目に入ってしまうのだ。

 男性の方が慌てた様子で彼女になにかを話しかける。身振り手振りで上のキャップだけを取るんだと説明しているようだ。すると彼女は照れ笑いを浮かべながら取れた口金を再びドレッシング瓶の蓋に捻じ込み始めた。

 「斜め前のテーブルの女性、ドレッシング瓶の蓋を破壊したよ」と家内に耳打ち。

 家内もその女性に目を向けた時、彼女はやっと口金を蓋に捻じ込むことに成功していた。今度はちゃんと先についた黒い樹脂のキャップを外した。手に持っていたのはアンチョビのドレッシングだ。アンチョビのドレッシングと聞くと「さかな臭いかも?」と思う人は多い。彼女もきっとそう思ったのだろう、ドレッシングの香りを嗅ごうとして、勢いあまって今度は口金を鼻に突っ込んだ。

 「え?」

 思わず、私たち夫婦は目が点になった。点の数が2つから4つに増えた。

 「いま、口金を鼻に挿したよね?」と家内が口に出すと、異常を察知した子供達が思わず後ろを振り向こうとしたが、冷静な常識人の私が何とか子供たちを制止した。しかたなく子供たち二人してそーっと窓に顔を向ける。暗くなった窓にその女性の姿が反射して映るからだ。

 その私たち家族の注目を一身に浴びていた女性は、サラダの上で勢い良くドレッシングの瓶を振っていた。かなり近距離で瓶を振っていたので、サラダの中に口金が突きささりそうだった。

 家内小声で実況するので子供たちも爆笑。もちろん振り返れないので前を見て笑うものだから、私の背中側の家族が怪訝そうな顔をしていたようだ。

 おかげで実に楽しい夕食のひと時を過ごせた。やはりイタリアンレストランには豪快な女性が似合う。陽気なイタリアンレストラン、万歳!(何か違う?)

 願わくば、次回来店までにドレッシング瓶が洗浄されることを!

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イタリアンのシンプルレシピ―簡単で毎日おいしい、マンマの料理がお手本です。 (オレンジページブックス)

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