2007年12月25日火曜日

【PC】鼠電脳を設定中

 25日以降出荷だとばかり思っていたPCだけど、22日に出荷連絡が来て23日の夜に届いた。

 喜び勇んで開封!

 「あれ、ディスプレイ接続用のDVI端子がない・・・」

 まぁ、そこはShuttleのキューブ型PC、ST61G4に挿していたATIのグラフィックボードを・・・て、挿せないorz

 ネットでDVI→RGB端子変換アダプタを探したらあるにはあったが、DVI端子でアナログモード対応のディスプレイのみ有効なんだそうだ。私のディスプレイは“NEC 15型デジタル液晶 ディスプレイ F15T42”というDFP20pin端子のものを、DFP→DVI変換アダプタでATI社製グラフィックボードRD96SE-LA128C (AGP 128MB)‐販売元は悪名高き“苦労と試行”(笑)‐に接続していた。

 どう考えても変換アダプタを買うだけ無駄。


軽く凹んだorz


 しばらく悶々と悩んだ挙句、液晶ディスプレイを新調するしかないという結論に至り、嬉々として(ぉ)ネットで検索。15インチなら2万円以下で買える(CRTだともっと安いが今更それはないだろう)。
 アマゾンでも2万円以下かからあるし、お急ぎ便で注文すれば24日中に届く。朝8時くらいまでに注文すれば当日配達というのは凄いね!

と、物色していて目に付いたのがイイヤマの19インチWXGA+ディスプレイ「iiyama 19インチワイド液晶ディスプレイ ブラック PLE1905WS-B1」。2万円弱ならXGAだけど5千円足せばWXGA+が手に入るというのは魅力的。「どうせ予算(総額5万)オーバーだし、せっかくだから」とこれに決定。

 商品は24日9:03に千葉県船橋市の倉庫(船橋オートレース場の隣)を出て13:44に東京の集配センターを通過し、16:39に群馬の集配センターに到着。19:46に無事自宅に届きました(^ワ^)

 早速OSのインストールを開始!

 ST61G4から抜いたHDD(160GB)を付けた状態で起動すると、そちらのパーテーションをCドライブと認識してしまうので、一旦HDDの電源を抜いて再度起動。キューブだとそういう作業だけでも面倒だけど、さすがにミニタワーは楽だ。

 終了まで39分と表示されたインストール作業もわずか10分程度で終了。Windows Updateも爆速(当社比)で進む。会社のノートPCなんてクリアインストールするとWindows Updateで半日かかるが(笑)。Athlon64 X2 4000+(2.1Ghz)は体感上は会社のデスクトップ(Core2Duo 1.86GHz)より早く感じる。

 CPUの性能だけじゃなく、2GBのメモリの効果もあるのだろう。


 というわけで順調に行っていた筈のインストールに問題発生。マザーボードのnVIDIA GeForce 6100がWXGA+ディスプレイとすこぶる相性が悪いorz
 WXGA+(1440x900)はちゃんとサポートされているんだけどね・・・。

 バンドルのPowerDVDでDVDを再生すると色が完全におかしい(Windows Media PlayerだとOK)し、全画面モードにしようとするとOSがストールorz

 さらにTVキャプチャーボードも同じような状態。

 NVIDIAのコントロールパネルで調整してもまともにならず、結局ビデオドライバをインストールし直したらストールしなくなったが、TV画面は全画面にはならないorz
 まぁ、TVをリアルタイムで観ることはほとんどないから大した問題じゃないけど^^;
画像

 ただ、イイヤマのディスプレイは格安にしてはかなり精細に表示できていて、DVDを再生するとはっきり画質の粗がわかる!…喜ぶべきか?(苦笑)
 デザインも無くてもいいスピーカーの位置を犠牲にしてスッキリしてGood。画面が変則サイズなので気に入っている壁紙等は若干の編集が必要だけど、広い画面は嬉しい。

 ぼちぼち満足が行く設定にしていくとしよう。とりあえずIEEE1394ボードは必要かな?


iiyama 19インチワイド液晶ディスプレイ ブラック PLE1905WS-B1

2007年12月22日土曜日

【PC】鼠電脳の微塔型計算機購入(笑)

 先日、我が家のPCの“母艦”Suhttle ST61G4が突然の瀕死状態に陥ってしまった。
 いきなり起動しなくなったのだorz

 電源を入れるとハードウェア(メモリ)を認識した画面が一瞬表示されるのだが、その後Phoenix BIOSが起動しない。背面のファンが全速力で回るだけ(ちなみに「ヒートパイプ冷却システム」だからCPU冷却ファンはない)。こりゃ十中八九BIOSがイカレてる--;

 何度も何度も電源を落として入れなおすとそのうち立ち上がることもある(リセットはダメ)が、もちろんこれじゃぁ使えない(涙)
 起動しなくなるのも時間の問題だろう。熱の影響でマザーボードの半田が溶けて接触不良を起こしているのかも?←以前ノートPCで経験した。

 購入から4年。FSB800なのにFSB533なふつーのCeleron(2GHz)を使い、メモリも「いつか1GBにしてやるよ」と言いつつずっと512MBなままで使っていたが、今まで文句ひとつ言わず、たま~にスタンバイから復帰するときにシャイに黙り込むくらいで(笑)黙々と動いてくれていたんだけど、ハードな動画変換処理にさすがに疲れたのか?^^;

 というわけで、期せずして後継母艦を購入する必要に迫られることになった。TVの録画とDVDの作成ができないのはさすがに困る。

 そこで、以下の条件でベアボーンを組もうと考えた。
・OSはST61G4のXPを使う。
・TVチューナーカードもST61G4に使っていたものを乗せ換え。
・メモリはST61G4で使っている512MBがあるので512MBを追加。
・CPUはこの際Core2Duoで。
・DVDドライブはせっかくだからDVD±R/DLに。
・HDDは160GB以上を追加。

って、通販サイトで見積もってみたらどう考えても5万円以内じゃ無理そう・・・なのにBTOなら5万円以下で組める!

 特にマウスコンピュータのLm-i420SHシリーズだったらCPUがPentium(R) Dual-Core(1.60GHz)ながら320GBのHDDでも4万円台半ばで買えてしまう!

 ただ、年内出荷はもうないから正月番組は録画できない。「だったら急いで発注することもないな」と思っていたら目に付いたのが、Lm-A414Sの即納モデル。
画像

・AMD Athlon(TM)64 X2 デュアルコア・プロセッサ4000+ (SocketAM2/2x512KB L2キャッシュ/2.1GHz/T)
・DDR2 SDRAM 2048MB PC2-5300(1024MBx2)
・160GB SerialATAII 7200rpm 8MBキャッシュ
・DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込/DVD±Rx16/-RWx6/+RWx8/RAMx12)シルバー

これで税込み\51,030ポッキリ!(誤)

 今までAthlonくんとは公私ともに(謎)お付き合いがなかったので「どーなの?」って気はするが、ほぼ私の要望どおりのスペック。詳しい人に聞いたらパフォーマンス的にはCore2Duoの1.86GHzと良い勝負らしい。

 「うーむ、シャトルのベアボーンSS21Tで組めば、何とか同じくらいの予算で組めるかも?」って思ったが、年末までアキバでパーツ集めする時間ないし、大掃除の合間に組み立てやるのも面倒なので素直に発注(笑)

 HDDの容量がもう少し欲しいところだが、そのうち買い足せばいいや。←って言ってるといつまでも買わないのだが^^;

 ところで、一応は64bitマシンらしいのだが、64bit版OSをインストールすると快適に動くんかな?
 64bit版のDebianでWブートマシンにすると楽しいかも?←ハマるぞ(笑)


LM-A415S

2007年12月21日金曜日

PHSは残った

次世代高速無線 KDDIとウィルコムに免許

 ウィルコムにとっては朗報。

 次世代高速無線は米インテルが提唱する通信規格「モバイルWiMAX(ワイマックス)」方式が世界標準と目されているだけに、次世代PHSが採用されたのは日本にとって吉と出るか・・・?

 次世代PHSだとビジネス的にはアジア圏だけという感じだけど、逆に中国市場を独占できるかも。

 とにかく、加入者減で苦境に立たされているウィルコムにとっとは次世代PHSで挽回するチャンスができたわけだ。ただ、現状では目標の20Mbpsに対して2Mbps程度しか速度が出ていないらしく、サービス開始までに多大な開発費を投入せざるを得ないのは目に見えており、予断は許さない。

 個人的にはソフトバンクとイー・アクセスなどが出資する「オープンワイヤレスネットワーク」陣営が敗れたことは意外だった。ソフトバンクは高速無線LANの試験を積極的に展開しているイメージがあったし、イー・アクセスはイー・モバイルを抱えているだけに免許がもらえるのではと思っていた。

 イー・モバイルにとっては、再来年からいきなりかなりの脅威にさらされるわけだ。多分、KDDI陣営に回線を借りてサービスを開始するしかないだろう。

 いずれにしてもモバイル端末愛用者に取っては安価で高速なサービスが開始されるのは大歓迎!
 楽しみです。


エレコム E-Mobile EM・ONE専用 液晶保護フィルム AVD-PFEM1CR

2007年12月18日火曜日

【腕時計】G-SHOCK “GULFMAN”


 佐野プレミアムアウトレットのオープン記念で買ったレジャー用のG-SHOCK「DWX-199 温泉用モデル(笑)」が購入からすでに4年が経過し、さすがにそろそろ電池寿命だろう(ペアで買ったかみさんのDWX-199Aはとっくに電池切れ)と思い、後継機として「MASTER OF G」シリーズの“MUDMAN”(G-9000-1JF)の購入を考えていたのだが、それが突如“GULFMAN”(GW-9100-1JF)になってしまった。

 腐食しにくいチタンボディというのもあるが、最大のポイントはマルチバンド5のタフソーラーなこと。“MUDMAN”のマルチバンド5タフソーラー(GW-9000-1JF)より“GULFMAN”の方がデザインが良いし・・・って、購入したヨドバシカメラに“MUDMAN”のブルーメタル限定モデルがあってそっちと迷ったけど、“GULFMAN”に決定!

 しかし、さすがに温泉用モデルにするには勿体なさ過ぎるので、そのうち“MUDMAN”(G-9000-1JF)をゲットしようかな?←結局そっちも欲しいのか(笑)

 まぁ、来年はマルチバンド5を試すことになりそうなので・・・それもあって最近ブログが停滞気味だったりすると言い訳してみる(謎)


CASIO G-SHOCK タフソーラー電波時計 GW-9100-1JF GULFMAN MULTIBAND5

2007年12月7日金曜日

【EM・ONE】19,800円で販売中!

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ご好評により期間延長・台数限定!EM・ONE(Windows Mobile 5.0)が、今なら、19,800円!

 なんですね~。

 しかも、「2007年12月31日までにお申し込みいただくと開通月無料!」なんだそうです。

 でも、さすがに年内に購入する気は・・・ないかな?^^;


 ただ、W-ZERO3の契約が満了する(bitWarpPDAを解約しても違約金が発生しない)来年7月末まで待つ必要があるかというと、
Yahoo!BB(8M)利用料月額2,180円
イー・モバイルのライトデータプラン(にねん)
��ADSL(10M)セットサービス(無期限セット割)
「年とく割」適用
月額2,480円

なんですね。

 W-ZERO3の契約満了まではW-ZERO3中心に使えば、ADSLがちょっと早くなってEM・ONEも使えるわけだ。だいたい、プロ野球のオフシーズンは通勤中はミクシィのメッセージをチェックするくらいしか使ってないので、ライトプランでも十分なはず。

 YahooBB!も会員向けのホークス関連コンテンツより無料のホークス関連コンテンツが充実してきたから、あまり執着する意味なくなってきているし...。
 とりあえず、契約して1年になる来年3月までは使ってやるか?ホークス関連の会員向けコンテンツが拡充されることもちょっと期待しつつ。

 後はプロ野球シーズン中に本格的にEM・ONEを使う際、月額4,980円(定額)のデータプランと月額3,980円(上限9980円)のギガデータプランのどちらを選ぶか?
 ギガデータプランだと8388700パケット(1,073,753,600バイト)まで3,980円。これは100Kbpsのストリーム配信(ホークス公式サイトの配信)に換算すると約23時間分、30Kbps(KBCの音声配信)だと約77時間分に相当(超過分は1000円で12MB分しかないので問題外)。

 実際の利用時間とパケット数がどのくらいになるかは、まずデータプランにしてから計算してみるしかないかな?
 あ、でも通勤中にパソコンもモデムとして使うなら、定額が良いのか?

 まぁ、プラン変更は手数料なしでできるようなので、契約してから考えよう♪


エレコム E-Mobile EM・ONE専用 液晶保護フィルム AVD-PFEM1CR

2007年11月30日金曜日

崎陽軒は“偽装”じゃない!

崎陽軒がシウマイ誤表示 農水省が立ち入り検査



 まぁ、JAS法違反ではあるんですけどね。報道の過熱ぶりも極まれりって感じでしょうか?

 偽装でもないんでもない、単純な誤解による表記ミス。

 シウマイに含まれるホタテの量を原料として仕入れた乾燥重量で計らなければいけなかったのに、戻した状態で計って原材料の順番を決めたってこと。

 つまり、実際に食べる人が中身を分けて分量を計ればちゃんとホタテの重量は原材料の記載どおりの順番になる。これが消費者を欺く行為か?

 お役人の決めごとがそうだったというだけの話。

 個人的にはわざわざ自主回収する必要もないし、営業自粛する必要もないのではと思うが、JAS法に違反しているから、立ち入り検査は入るか...。

 却って乾燥ホタテの重量で記載された方が不自然な気がするけどね。いっそ、別会社で乾燥ホタテを戻してもらって、それを購入してシウマイ作れば今の記載の順番で問題ないのでは?(笑)

 そんなことより、中国から輸入している漬物の検査なんかを徹底してくれ。

 崎陽軒のシウマイは大好きなので、早期に販売再開して欲しいね!!


横浜名物-崎陽軒シウマイ弁当根付(壱1)EBSYNK0401

2007年11月29日木曜日

【映画】転々

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 時効警察の三木聡監督とオダギリジョーが組んだ映画作品。ってことでその雰囲気はわざわざ説明するまでもないか?(笑)
 「時効警察」はもちろん、「亀は意外と速く泳ぐ」もかなり面白かったので、観に行ってきました。

 映画館はアミューズCQN(渋谷)。都内では、他にテアトル新宿の2館で上映。結構少ない。

 実は「亀速」は映画館で観たいと思っていて上映館が少なくて行きそびれてしまいDVD鑑賞となってしまった。基本的に田舎者な私は、渋谷とか新宿という場所は行きたくないのだが、今回も有楽町近辺に上映館がないから、思い切って渋谷まで足を伸ばした(笑)。

 …と言っても有楽町が好きなわけではなく、通勤沿線の駅なのと、駅のすぐそばに映画館があるだけの話。それにアミューズCQNは毎週水曜日は1000円で観られるのであまり贅沢は言ってられない。

 上映されたのはアミューズCQNで一番広いシアター1。まぁ、広いと言っても200席だけど。

 それでも小栗旬主演の「クローズ ZERO」とアンジェリーナ・ジョリー主演の「マイティ・ハート 愛と絆」を従えて一番大きいシアターを奪取!!(^ワ^)

 1000円デーということで結構な混みようだったけど、前から5列目の見やすい席を確保できました。でもスクリーンの大きさ見たら、最前列でも良かったかなと思ったり^^;
 客の大半が女性で、左右も女性に囲まれて嬉しかったが(爆)、背後に座ったカップルの女がアニメ声なのは参った。お前、絶対上映中にしゃべるなよ!!


 さて、映画の内容は実に実に楽しい101分でした!
 ただ、特に室内のシーンはセットの中にさりげなく小ネタがあるんじゃないかと気になって話に集中できませんでしたが(爆)

 オダギリジョーの好演はもちろんのこと、三浦友和のうらぶれた借金取りぶりも非常に良い味出しているし、小泉今日子も実に楽しそうに演技しています。岩松了、ふせえり、松重豊は相変わらず。「亀速」のノリをそのまんま再演してくれます(笑)

 そして吉高由里子のパワフルさは最高!
画像 彼女は2006年に放送された「時効警察」の「第6話 恋の時効は2月14日であるか否かはあなた次第」に森口瑤子の娘役として出演しています。この回はかなり好きな話なので印象に残ってますが、この時よりはずいぶん大人びたかな?でも、弾けぶりが凄いです!

 その他では石原良純の登場の仕方が衝撃的で場内大爆笑でした。ここはちょっと「ゆるい」というレベルではないです(^ワ^)

 それから「時効警察」ファンならぜひ見たいあの人は、ぜひ見たいあの姿で登場してくれます!

 ちなみに、この映画は結構好評なようで、12月からは全国12館で上映される模様。「時効警察」ファンで近くに上映館があるなら一見の価値ありです!

映画「転々-てんてん-」オフィシャルサイト

《あらすじ》
幼いころに両親に捨てられた孤独な大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)は、いつの間にか84万円もの借金をこしらえ、返済の期限があと3日に迫っていた。しかし、その期限の前日、文哉は借金取りの福原(三浦友和)から借金をチャラにする方法を提案される。それは、吉祥寺から霞か関まで歩く“東京散歩” に付き合うことだった。


【以下はネタバレ】

 竹村文哉(オダギリジョー)がいきなり福原愛一郎(三浦友和)に拷問?を受けるオープニングはかなり衝撃(笑劇)的。あんな拷問は絶対受けたくない!(爆)

 ストーリーが原作ものなので、きちんとラストが決まっていて、それが映画序盤で明かされてしまいます。妻を殺してしまった(殺人ではなく傷害致死)福原が、警視庁まで自首するために文哉を連れて吉祥寺から桜田門まで妻との想い出の地を訪ねながら歩きます。そして、自首する前に食べるのはカレーライスと決めている。

 これに“死体が先に発見されると自首にならない”と“福原の妻が本気で惚れた浮気相手は文哉!?”(もし、そうだったら半殺しにされる)というプチサスペンスが絡みます。後者は中盤で解決してしまいますが、前者は最後まで引っ張ります。ただ、そのキーパーソンが福原の妻の職場の同僚(岩松了、ふせえり、松重豊)なので最初から「だめだ、こりゃ」ですが。留守番電話にブラックなジョークを飛ばす部分は大爆笑です。結局のところ彼ら3人がまったくストーリーに絡んで来ないのも凄い(爆)

 その肝心のストーリー(三木監督作品に“肝心のストーリー”があること自体画期的?)、序盤で文哉が自身の境遇について極めて飄々と語り、それが終盤の疑似家族のシーンの伏線になります。話が進むにつれ、最初はすごく厭そうに福原に付き合っていた文哉の気持ちの変化がいくつかの出来事を通じて実にうまく表わされていきます。

 疑似お親子を演じる二人の会話では「とうさん」で笑わせておいて「おやじ」でちょっとジーンと来る、憎い演出もあります(オダギリジョーの演技が秀逸)。

 終盤、チャツネを買いに出かけた文哉の葛藤が描かれますが、文哉としては福原に「時効になるまで逃げて」って言いたかったんでしょう。夕食に疑似家族でカレーを食べる“泣き笑い”のシーンはホロリとさせられます。ある意味三木監督作品らしくない(あるいは新境地)かも知れません。

 また、弾けぶりがすごい吉高由里子は風呂場で変な歌を歌うシーンは大爆笑!
 歌を歌っていたかと思うと何やら叫びながらパンティ一枚で風呂場から飛び出して来て、家中?を駆け回ってまた風呂場に戻って行きます。わけわからん。つーか、吉高由里子のテンション超高い熱演に拍手です。

 それ以外で個人的なサプライズは、平岩紙が出演していたこと。「転々」の公式サイトのキャストに出ていなかったので、まさか出てくるとは思いませんでした(^ワ^)

 しかも、文哉のファースト・キスの相手だったというおいしい設定。さらにさらに、なんと綾波レイのコスプレで登場。これが明らかに意図的なんだろうけど、もう全然似合ってない(爆)
 喋り方も得意?の“舌足らず調”だし、「クワイエットルームにようこそ」とは違って完全にお馬鹿モードでした。

 最後に、岩松了、ふせえり、松重豊が最初にかます“崖ネタ”は中途半端に終わったかに見えて最後の最後にオチ?が入ります。エンドクレジット後なのでお見逃しなきよう(笑)

 結局、見落とした小ネタはDVDで確認するしかないですけどね。


転々 (新潮文庫)

【ドラマ】ガリレオ 第七章「予知る(しる)」

フジテレビ系全国ネット月9ドラマ「ガリレオ」オリジナルサウンドトラック

 前回、マキマキに会えなかったましゃ、その反動(笑)で今回は恭子りんとの2ショットまでありましたよぉ~。良かったねぇ~、ましゃ。

にしても、CMも恭子りんだらけな1時間でした(^ワ^)
 化粧品メーカーがスポンサーについているせいか、ちょっと厚化粧過ぎな気がするのは私の気のせい?「神様、もう少しだけ」のころの薄化粧な恭子りんの方が可愛かった気がする。

 それにもともとぽっちゃり体系なんだけれど、なんだかCMに比べるとドラマの方がふっくらしてませんでした?
 もしかして篠原涼子おねーさんに続く妊娠ネタか?って、まだ独身だよね^^;
 まぁ、身長182cmの私よりでかい26cmの足で体を支えているから、多少の体重増は問題ないか・・・って、そういう問題じゃないね。それにこの程度のふっくらは全然OK(誰が?)

 さてさて、ストーリーの方は予想どおり原作から大幅に改編されてました。

 まず、正真正銘のオカルト少女が出てこないのは、ストーリーとして破綻している気がする。
 第五章では矢島秋穂は火の玉を心霊現象などとは全然考えなかったのに対し、今回の菅原満は首つり現場を目撃したにも関わらず、夢だと思って通報もしなかっただと?

 さっぱりわからない。

 普通は目撃したら警察に通報ぐらいするでしょ?
 そこは原作が病弱な少女だから成り立つんじゃないかな?

 それとも、大後寿々花ちゃんは賢くて塚地武雅(敬称略ぉ)はただのバカだってこと?
…それは在りうるか?(爆)

 脚本が同じ古家和尚なのにちょっと引っかかるなぁ~。

その他では、

・峰村は静子ちゃんに殺されちゃうのね~。
・冬美も峰村も静子ちゃんに利用されただけだったのね~。
・静子ちゃん最後にタイーホされちゃうのね~。

って、恭子りん@静子ちゃん極悪ぢゃん!!

 原作の静子はそこまで極悪じゃないんですけどね。どちらかと言えば峰村が悪人かな?…まぁ、小心者だけどね。

 犯人については、うちのかみさんは事件が起こった途端に「フカキョンが犯人!」って見破っちゃいました。峰村の行動を見て「共犯がいる。となるとフカキョンしか考えられない」と。

 一応、原作を読了している娘と私は推理には口出ししないことにしてます。

 ちなみにストーリーの主軸は原作にないドラマの部分だから原作を読んでいても、「あ、そう来たか!?」って感じで問題なく楽しめます。

 今回は、湯川がほぼ単独で活躍。誘導尋問はするは、罠は仕掛けるは、ボクシングはするは、失恋(?)のフォローはするは、薫ちゃんてば出る幕なし。

 というわけで、ER流体については解決したのだが、クモハの謎は残ったままドラマは終わってしまった。

 “クモ”は制御&動力装置を表し、この場合は「制御電動車」であることを意味する。“ハ”は用途を現わし、この場合は普通座席車を意味する。ただし、それだけで終わってはいけない。問題は湯川が見ていた電車は701系なのだ。
 700系ならばJR東海とJR西日本が所有する新幹線だが、701系はJR東日本が所有し、東北地方のみで運行されるローカル電車だ。

 東北地方でのみ運行される理由は簡単。交流区間用の電車だから。

 では、なぜ湯川がわざわざローカルな交流区間用電車に興味を持ったのか!?

「一度気になったら自分で確かめないと気が済まないの。もう今夜は眠れそうにありません。」

 だったら、富豪刑事に調べてもらおう!

あ、全然ドラマレビューになってない?(汗
KISSして(DVD付)

KISSして(DVD付)

2007年11月28日水曜日

マクドナルド調理日時偽装‐騒ぎ過ぎだよ!

マクドナルドで調理日時偽装 外部運営会社と契約解除
 マクドナルドの都内4店舗で、売れ残ったサラダの調理日時のシールを、翌日付けに張り替えて販売していたことが、26日に分かった。..........≪続きを読む≫
マクドナルドまでも… サラダの調理日時を偽装
マクドナルド社長が謝罪「大変残念だ」
 昨晩の「NHKニュース9」でキャスターがさも重大ニュースのように扱っていたので大笑いさせてもらったぞ。

 こうなると、あの宝塚線列車事故後の「停止位置を何cm行き過ぎた」報道の過熱ぶりを思い出してしまうね。今が旬の大衆の関心事なんだろうけれど。

 今でも、全国規模なら1日に何両もの電車が停止位置できちんと止まっていないと思うのだが、駅を間違って通過すればニュースになるものの、停止位置を行き過ぎたぐらいでは誰もニュースにしない。

 問題は、今回のマクドナルドの事件は、食品衛生法やJAS法で定められている「その食品を開封せず正しく保存した場合に味と品質が充分に保てると製造業者が認める期間」を偽装したのかどうか‐つまり、法令に違反したかどうかだ。報道を見る限り「賞味期限の偽装」ではなく「調理日時の偽装」であることに注意!!
 マクドナルドの「違法性はない」と言う説明が事実なら、単に内規に違反しただけのこと。ことさら騒ぐ話ではない。

 社長が「36年間の歴史のなかでこのようなことが起きて大変残念だ」なんて寝ぼけた記者会見をかましてくれたが、マクドナルドのフランチャイズ店にパートタイマーとして勤めている知人によれば、商品管理なんて実にいい加減らしい。今回問題になった調理日時の貼り替えなんて日常茶飯事で、本社にばれて咎められると「パートが勝手にやった」と報告するんだそうだ。どっかの高級料亭と体質は同じか?(笑)

 そもそも冷蔵ケースに入れたサラダが12時間で味が落ちるなら、スーパーで流通しているほとんどの野菜やサラダは不味くて食えたもんじゃないだろ?

 穿った見かたをすれば、マクドナルドが見せしめとトカゲのしっぽ切りでアスリートという会社を切り捨て、自社の商品管理が如何に優れているか宣伝したともとれる。マスコミはまんまと偽装ブームにつられてマクドナルドの宣伝を無料でやってしまったわけだ。

 マクドナルドはそんな偽装問題より、世界で一番安い牛肉を使用していると豪語している牛肉の安全性をきちんと説明すべきだ。

 私はあんな紙粘土みたいなパンにクズ肉を挟んだハンバーガーは嫌いなので関係ないけどね。


30日間マクドナルド生活―自分の体で実験してみました

【EM・ONE】次期モバイルはEM・ONEで決まり!?

 イー・モバイルが業界初のHSDPA7.2Mbps通信サービス開始!! ってのは個人的にはあまり重要じゃなくて、重要なのはEMモバイルブロードバンドサービスエリア

 関東のマップを見ると、2008年2月までに東京から前橋までの新幹線沿線が全域でサービス提供地域になる!

ということは、来年のプロ野球シーズンはEMモバイルブロードバンドを利用すれば、通勤中ずっと快適にストリーム配信が視聴できるってことだ。まぁ、最大が3.6Mbpsのベストエフォートだから768Kbps配信のYahoo!動画はかなりつらいだろうが、ホークス公式サイトの100Kbps配信なら大丈夫だろう。もちろんKBC九州朝日放送の30Kbps音声配信は問題なく聞けるはずだ。

 気になる利用料金だが、定額プランで4,980円/月、ライトプランだと17MBまで2,480円/月でそれ以上だと上限が5,480円/月となる。私の場合、プロ野球シーズンは1日の利用量が30MB以上になるが、シーズン終了後はmixiのメッセージチェックくらいしか使っていないので17MB以内で収まる可能性が十分ある。となると、11月~2月は2,480円/月、3月~10月は5,480円となるので、年総額で53,760円、月平均で4,480円だ。
 ADSL(10MBbps)は2009年2月までにセットで契約すれば使用料が永久無料とのこと。

 現在はYahoo!BBに2,180円/月、So-netのbitwarpPDAに2,107円/月支払っているので合計すると4,287円

 その差200円未満! 経費としては許容範囲。これはもう切り替えるしかないか?(笑)

 ただ、来年7月まではW‐ZERO3のbitwarpPDAコースは解約できないので、最短で8月からかな?
画像 USBモデムを購入して都内で7.2Mbpsの恩恵にあずかる選択もあるが、やはり携帯に便利で4.1インチWVGA大画面でワンセグも視聴できるEM・ONEαの方が利用用途にあってる。αなら、とりあえずさばこぞさんも出し抜けるし(違)

 W‐ZERO3みたく、高速道路のSA/PAならほぼどこでもアクセス可というわけにはいかないけれど、サービスエリア拡大と料金設定拡充で、意外と早くHSDPAでネットアクセスな環境が手に入りそうだね♪

って、今から来年8月の話なんて鬼が大笑いしそうだ(爆)


2007年11月22日木曜日

【映画】亀は意外と速く泳ぐ

 スウィングガールズでブレイクした上野樹里が主演し、「トリビアの泉」を手がけた三木聡の監督作品ということで、劇場公開前にかなり話題になった作品。公式サイトではDVDにも収録されているショートフィルム ‐ 亀に水中モーターを付けて泳がせるものと人間が犬用の服を着るものの2本‐が事前に公開されていたが、結局本編とはまったく関係なかった(爆)

 その作品中で一番気にっているのはこのシーン。
画像

 海岸に面した空港に隣接する公園、レミオロメンの曲「南風」の軽快なリズムに乗って、片倉スズメ(上野樹里)がフランスへ旅立つために空港へ向かい歩き出す(見えている空港が明らかに羽田空港なのはナゼ?)。カメラはスズメのキャスターが付いたトランクを追う。そのトランクの下の路面に次々と出演者名が現れる。公園の端に行き着いたスズメが振り向くと同時にカメラが視点をスズメの上半身に移すと、背後を横切る着陸態勢のジャンボジェットと差し込む陽光・・・。


 一番好きなシーンがエンドクレジットで悪いか?(爆)

 しかも樹里ちゃんの雰囲気も実に晴れやか。唯一トランクに張られたステッカーがダサダサだった頃の名残りになっているだけ(笑)

このシーンが滅茶苦茶カッコイイ!

 最初は合成のワンカットで撮影したシーンだとは思わなかった。出演者名とジャンボは後から合成したんだろうと思っていたが、DVDのメイキングを見ていたら、本当に城南島海浜公園のインターロッキング上に出演者の名前が書いてあって、上野樹里がその上を歩いて振り返った時に轟音とともにジャンボジェットが降りてくるから驚いた。

 まぁ、この映画はCGどころかハイスピード撮影(=スローモーション)さえ出来ないカメラ(ほとんど民生品)を使って撮影されているというから驚く。

 ゆるい映画に計算されつくしたエンドクレジット。なかなか洒落ている。

 音声解説付きで観ていると台詞は脚本どおりでアドリブはほとんどないらしい。役者がアドリブを考える為に空く“間”を監督が嫌ったとのこと。
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 それだけ、全体構成は監督が掌握し計算して構成されている。ストーリー(あってなきが如しだが)に直接関係ない無駄無意味そうなシーンも計算されているので、単なる小ネタかと思っていたシーンが伏線だったりする。一方で理不尽なギャグが何のフォローもないまま終わることもある。個人的にはこういう理不尽系なネタは大好きだ。

 その他にも好きなシーンを上げると...、

・有馬記念で200万円ゲット!
・スズメVS加東先輩in喫茶店
・韮山VSクジャクin福引
・クギタニ家のトイレが詰まった!
・スズメ、髪から放電←地味だけどかなり好き

などなど。
画像

 一発ネタのようで、同じ個所で何度も笑ってしまうのは、脚本の面白さと演技の巧さの賜物。

 要潤は眼は死んでるし、変な笑い方するし、蒼井優もキレまくってるし、そして主演の上野樹里は実にやる気なさそうだし、一癖も二癖もあるベテラン俳優陣に囲まれて若手俳優がかなり良い味を醸し出している。

 ゆるい映画と言ってもきちんと計算されていることは、当たり前と言えば当たり前だが、三木監督にすっかり騙されたような気分になった。そこそこラーメンを作っているラーメン屋のオヤジの実力を見せ付けられた思いだ(笑)

 三木聡監督作品は、現在「転々」がちょうど公開中。会社帰りに時間が取れたらぜひ観に行きたいと思う。


亀は意外と速く泳ぐ デラックス版

【ドラマ】ガリレオ 第六章「夢想る(ゆめみる)」

フジテレビ系全国ネット月9ドラマ「ガリレオ」オリジナルサウンドトラック

 今回はゲストに手塚理美と堀北真希が登場!

 「花ざかりの~」はほとんど見ていないので、私にとってホマキちゃんと言えば「野ブタ。」と「クロサギ」。今見返しても「野ブタ。」のホマキは良い演技してるね~。両作品とも山Pは最初は違和感バリバリなんだけど、だんだん雰囲気に馴染んでいく。ホマキの方がドラマの世界観を作って巧くリードしているような感じだ。

 というわけで「野ブタ。パワー、注入!」


 さてさて、「ガリレオ」は原作が怪現象に対する科学的検証を主とした短編であり、それだけでは1時間枠(実質45分程度)のドラマとして持たないため、いかに人間ドラマの部分を脚色するかがこの番組の一つの見どころであることは間違いない。

 前回は原作では火の玉の目撃者でしかない娘のストーリーを大幅に脚色し、大後寿々花がレギュラーを凌駕する演技力で見せてくれた。そして今回は?ってことで期待大!!


 …だったのにほぼ原作どおりだったよorz

 勿体な~いっ!!

 まぁ、日曜日の「福山雅治のSUZUKI TALKING F.M.」でましゃが「真希ちゃんに凄く会いたかったのに、一度も会えなかった」って非常に残念そうに言っていたが‐お前はロリコンかい!?(笑)‐そういうことだったのか。

 ぜーんぜんホマキである必要がないぞ(怒)。貴重な美少女資源をそんなことで浪費して良いのか?(違


 そんな失意の第六章(ぉ)、原作との設定の違いは科学の実験ネタ(それも結構有名なヤツ)、犯人の犯行動機、被害者(?)が内海の幼馴染であること、内海と湯川がダルマ船に閉じ込められるエピソード、“モリサキレミ”の正体等など。かなり脚色は盛りだくさん。

 まず科学の実験ネタ「水に浮かぶ文字」については、原作の「夢想る(ゆめみる)」がまったく科学的検証がないので追加したネタ。ただし、“手品ネタ”(?)としてはけっこう有名なネタなのでちょっと安易すぎるような気が^^;

 そして原作と異なる犯行動機についてはちょっと強引すぎる気が^^;。そもそも原作は「犯行動機なんて疎かで構わない」と開きなおっている部分があるようにも思えるが、1時間ドラマなんだからもうちょっと説得力のある動機にして欲しい。たとえ坂木(新井浩文)が不倫の秘密を知っていたとしても、それをネタに強請ろうとしたわけでもなんでもないんだからなぁ・・・。

 ついでながら「普通外部からの侵入者がこんな難しいところからは入りません!」という場所から侵入できたのなら、手招きした人間がいることを疑うのは捜査の基本だと思うのだが?

 なめられてるぞ警察。もっとがんばれ(笑)

 その分、坂木と内海の子供時代の子役が妙に二人とも似ていたのはなかなかGJだ(笑)。柴咲コウに似ている子役なんてそうそう簡単には見つからない気がする。

 ドラマとしての見どころは、まず「刑事としてやるべきことはします。でも、友達としても、出来るだけのことをしてやりたいんです」という内海に湯川が「矛盾している」と指摘するシーン。ここは原作にはないオリジナルエピソード。ただ、「容疑者χの献身」では立場を逆にして草薙と湯川の間でそれに近いやり取りがあるので「もしかして映画の前哨戦?」なーんて思ったりして。逆の立場だと内海は拗ねるんか~?腹立てるんか~?

ま、どーでも良いが(笑)

 そして今回の一番の見どころはダルマ船に閉じ込められた二人。湯川が「退屈な実験の繰り返しの中で、見つかる世界がある」と話す件は、少なくとも今まで読んだガリレオシリーズ(短編2冊+「容疑者χの献身」)には出てこないエピソード。なかなか説得力がある話で、内海もより湯川を身近に感じ、信頼を覚えたのではないだろうか?

 このエピソードを創出した脚本家は科学に愛着があるのかなと思ったが、今回は福田靖でも古家和尚でもない松本欧太郎。

 って、実在する脚本家!?  謎だ。とっても謎だ。
 どうも、誰かが一時的なペンネームを使っている可能性があるなぁ...。

 そして、今回残された一番の謎は...

「ちゃばしらたつこ」は実在するのか!?
 少なくとも日本に茶柱姓は存在するのか!?

 かなーり謎だ。誰か知っている人がいたら教えてちょんまげ(死語)


 来週は「予知る(しる)」実は短編の中でももっともオカルト的な色合いが濃い短編。ってかこれって本当にオカルト。オカルト色を損なわないドラマに仕上がっていることを希望するぞ。

 で、フカキョンは“どっち”の役だ?イメージ的には被害者の方なんだが?
 潔く死んでくれ(ぉ

KISSして(DVD付)

2007年11月16日金曜日

船場吉兆、こいつらだけは許せない。

 賞味期限改ざんとか消費期限改ざんというレベルじゃなくて、会社の姿勢としてこいつらは許せない。

船場吉兆を家宅捜索
船場吉兆強制捜査へ 偽装会社ぐるみ


というわけで、明日の天声人語はこんな感じになるかもと予想してみた(嘘)
天声人語風メーカー URL→http://taisa.tm.land.to/tensei.html
【天声人語】
船場吉兆は「全責任はパート女性にある」と主張している。しかしちょっと待って欲しい。「全責任はパート女性にある」と主張するには早計に過ぎないか。

船場吉兆の真摯な姿勢が、今ひとつ伝わってこない。

例えばパートのおばさんからは「取締役に賞味期限を延ばすよう指示された」と主張するような声もある。

このような声に船場吉兆は謙虚に耳を傾けるべきではないか▲

思い出してほしい、過去にも何度も船場吉兆はパートのおばさんの叫びを無視している。

船場吉兆はパートのおばさんの「取締役に賞味期限を延ばすよう指示された」という主張を間違いであるかのような発言をして、批判を浴びた。

確かにパートのおばさんには口が軽いという問題もある。だが、心配のしすぎではないか▲

船場吉兆の主張は一見一理あるように聞こえる。

しかし、だからといって本当に船場吉兆は「全責任はパート女性にある」と主張できるのであろうか?

それはいかがなものか。的はずれというほかない▲

事の本質はそうではではない。その前にすべきことがあるのではないか。

船場吉兆は、未来を担う一員として責任があることを忘れてはならない。

船場吉兆の主張には危険なにおいがする。各方面の声に耳を傾けてほしい。▲

船場吉兆に疑問を抱くのは私達だけだろうか。

「全責任はパート女性にある」と主張したことに対してはパートのおばさんの反発が予想される。「取締役に賞味期限を延ばすよう指示された」という主張を支持する声も聞かれなくもない▲

船場吉兆もそれは望んでいないはず。しかし船場吉兆は責任転嫁もはなはだしいである。

「全責任はパート女性にある」と主張する事はあまりに乱暴だ。船場吉兆は再考すべきだろう。

繰り返すが船場吉兆は責任転嫁もはなはだしいである▲

船場吉兆の「全責任はパート女性にある」と主張したことは波紋を広げそうだ。今こそ冷静な捜査が求められる。
わ、笑えぇねぇ!!

 まぁ、三田牛なんてのは、大分から神戸に出荷された肉牛の半年後の姿で、半年出荷が早まったと思えば特に問題もないわけ・・・ではないか(笑)
 以前、高井戸にあった高級スーパーは販売した松阪牛が雄牛だったことが消費者の指摘でわかって閉店に追い込まれましたからね。信用というのはそれだけ大事なもの。

 それを若鳥専門店から購入した鶏肉を地鶏と表記しておいて、偽装がばれたら「肉屋にだまされた」ってどういうことだ?
「吉兆に『地鶏』とは言ってない」 鶏肉店主が証言

 それにパートタイマーに全責任って、普通の会社組織だったらパートが問題起こしたらそれは雇用者の責任でしょ?もしかして、そのパートは管理職だったんですか?(苦笑)

 正直いって、過去最悪の食品偽装会社だろう。こういう会社は絶対許してはならない。破産するしか道はない。



2007年11月15日木曜日

【小説】クワイエットルームにようこそ

 休日に家の近所の本屋に何件か行ったが、この本、売り切れだった。他の松尾スズキ作品はあったりするのだが、「クワイエットルームにようこそ」はなかった。

 余談だが、最近の人気を象徴しているのか、蒼井優の写真集「トラベル・サンド」が平積みで売られていて、しかも立ち読み用まであったのでついつい一目を忍んで(笑)手に取り、内容を確認してしまった。

 これはいい!(爆)

 アイドルの写真集でもなければエロい写真集でもない。すごーく自然な女の子が風景の一部となっている。清々しい空気が満ちていて、まるで開いたページからマイナスオゾンが噴き出しているような、そんな写真集。自宅に持ち帰ってゆっくり眺めていたい衝動に駆られたが、おぢさんにはちょっと恥ずかしい。却ってエロい写真集の方が「おぢさん助平ですから!」と開き直ってレジに持っていけそうだ。

 ここはやっぱり1500円以上送料無料でアマゾンか?(笑)

 閑話休題。「クワイエットルームにようこそ」は火曜日の帰宅時、会社最寄駅の本屋で発見。今月はお小遣いが厳しかったことも忘れ、ついつい買ってしまった。まぁ470円だから昼食1回我慢すれば・・・できるわけねぇし(苦笑)

 電車に乗って早速読み始めたら、導入部から笑劇衝撃的な場面で「こりゃ、ハードル高いかも?」って思ったが、その後はまったく問題なし。ってか、映画以上にスピード感ある展開。

 もともと文庫本にして150ページ弱の作品なので、映画化に際してディテールを追加こそすれ割愛した部分はほとんどなし。

 まるで、ナース山岸が持ってきた流動食のように、映画以上にスピード感を感じる展開。そして、著者=監督・脚本だけに設定、登場人物ともにイメージの乖離がなく、両方とも見事にその世界観が描かれています。

 そして、何が凄いかって大竹しのぶ。

 スマン。正直スマンかった!

 映画評で「ちょっと残念」なんて書いて悪かった。

大竹しのぶの演技は完璧!!

 なるほど、原作の西野のキャラを把握した結果があの演技か!すごいぞ大竹しのぶ。西野の嫌悪感を抱くキャラクタを完璧なまでに表現し切ってる。気持ちわるぅぅぅい!!(爆)
 いや、ホメ言葉。小説読んでるだけで、本から大竹しのぶの姿をした西野が抜け出て来そうだ。こりゃ、貞子もビックリ!!

 特に最終章「わたし」は展開も面白い。トイレで明日香とミキの距離が離れて行き、クワイエットルームで再び二人の気持ちが重なる様がうまく表現されている。なるほど、ミキが「おーい」と言って、明日香が応えて二人して涙したのは再び距離感が縮まったからだったのか。

 うん、もう1回内田有紀と青井優の演技を確認してみたくなった。DVD発売まで待つか、来月まだ上映していたらもう1回行くか?前回は最前列右端の悪条件だったからなぁ...

 テーマがかなり重いのに、文体は軽いのですんなり読めるし、明日香の一人称で描写されているから、共感もし易い。一人称小説は映画化すると失敗することが多いが、そういう意味では内田有紀は実に巧く演じていたと思う。監督と事前にとことん演技を突き詰めた成果だろう。

 映画を見てから原作を読んでも、原作を読んでから映画を見ても期待を裏切られることはないだろう。強いて難点を言えば、映画と原作の相乗効果で悪夢を見てしまったくらいか?(苦笑)

 西野、夢にまで出て来るな!!(爆)


クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

【ドラマ】ガリレオ 第五章「絞殺る(しめる)」

 満を持して?の大後寿々花ちゃん登場。しかもセーラー服。王道だ(謎)。ちなみに私の娘と同い年だったりする。筆者がロリコンでないことは一応?宣言しておくが、娘の中学校はセーラー服ではない(ぉ

 大後寿々花と言えば、やっぱりセクシーボイスアンドロボの“ニコ”なのだ。やっぱりと言いつつ、視聴率は「ハタチの恋人」並みに(爆)低かった番組なので、“ニコ”としてのお茶の間の認知度はそれほど高くないかも知れない。

 一方で高視聴率番組だった「Dr.コトー診療所」では島民の女の子としてちょこちょこ顔を出してるし、「ごくせん」ではヤンクミの子供時代を演じていたりするのだが、それでもやっぱり大後寿々花はニコなのだ。

 木皿泉がニコ(二湖)だから姉は一海に違いないと原作に出てこない姉を作ったのはこの際どうでも良いし、だったら3人目が生まれたら三池かよってツッコミをしてもしょうがないし、両親が塚本晋也と片桐はいりというトンデモナイ配役だったことは記憶にとどめる必要がない。

 個人的に一番好きなエピソードはりょうがゲスト出演した“Voice 6 ZI”だったりするのだが。
「花屋じゃないよね?」が最高(笑)

って、何の話だっけ?

 まぁ、日曜午後9時で明石家さんま+長澤まさみの視聴率7%と、火曜午後10時で松山ケンイチ+大後寿々花の7%は背負った罪の重さは全く違うと言っても過言ではないかも知れないのだ。

 というわけで(え?)、ガリレオもついに第五話。折り返し点に到達である。

 実はこの日、会社の最寄駅の駅前の本屋で「クワイエットルームにようこそ」の文庫本を発見し、電車の中で読みながら帰宅した。そしてガリレオを観て、ベッドの中で「クワイエットルーム~」の残りを読んで寝たら、私のただでさえ記憶容量に限界がある脳みそに二つの情報が混信状態で記憶されてしまった。

 夢の中で大竹しのぶが水野美紀に「生きるってね、すごーく重いことなのよお!でへぇへぇえ!!」って説教していた(爆)

 ま、意味合い的には間違ってはないな^^;

 そう簡単にあっちの世界へ逝ってはいけないのだ。あそこまで大がかりな自殺のアイデアを考えるだけの頭脳があるなら、その発想をもっと家族で生きていく方法に向けた方が良かっただろう?
 とは言っても、推理小説的にはあっちの世界で誰も行かないことには話が始まらないというのは確かにあるが。

 さて、青白きインテリさんがこの回のレビューの中
 この作家の作風なのかも知れないが、少なくともこのガリレオシリーズにおいては、まず湯川が謎解きをするためのトリックが最初に考え出され、そこにまるで添え物のようにストーリーが付け足される、といった形で創作活動がなされているのではないか。だから殺人が起こったとして、そこにいたる人間の感情や動機は極めて淡白にしか描かれない。そう、まるで犯罪がどうやって為されたか、ということにしか興味がない湯川のように。
と指摘されているが、まさにそのとおりだろう。

 私が読んだ他の作品においても、最初にラストのアイデアがあって、それに向けて予定調和的に話が進む傾向は強いと感じる。ただし、人間ドラマの描写が苦手なのではなく、ガリレオシリーズがもともと怪現象に思えるトリックを科学的に解明する短編小説という形で書かれているからだろう。実際「容疑者χの献身」はトリックよりも登場人物の心理に重きを置いて書かれている感じがする(この作品は「本格推理小説ではない」という議論が文壇であったらしい)。

画像 だから、このドラマでは短編小説を再現するだけなら一時間持たないと思える作品に如何に人間ドラマを盛り込むかが、演出・脚本の腕の見せ所だろう。そこで今回は「天才子役」大後寿々花の登場となった。

 原作との設定の違いは、容疑者宅がペンションではなく小さな町工場だったことくらい。そして原作は湯川の推理までで話が終わる。

 それから、原作の妻が限りなく共犯に近いのもテレビとは異なっている。テレビドラマでは妻のアリバイを長野県と都内の距離で証明したが、原作は「犯行時刻」に妻が買い物をしたり喫茶店に入ってレシートを残していることでアリバイが成立する。普通の主婦なら自宅にいる時間が長いのでなかなか完璧なアリバイというのは証明できないかも知れないので、テレビドラマの移動時間でアリバイを証明する方が自然だ。原作は妻が夫の行動に勘付いて意識的に外出してアリバイを作っているが、これだと保険金詐欺容疑が掛けられる可能性があるだろう。

 それに夫が自殺しそうだと感づいて自主的にアリバイ作りをするというのはストーリーとしてはちょっと感心しない。普通は徒労に終わるとしても自殺を思いとどまらせるような努力をするだろう?

 ただ、じゃあ貴子(水野美紀)が「まったく何も知りませんでした。」では何の捻りもないわけで、その捻りを入れたというか捻くれた秋穗(大後寿々花)中心のドラマにしたところは今回ドラマ的に成功したと言えるだろう。

 長野在住の中学生、秋穗が簡単に一人で東京まで出てくるという設定はちょっと気になったけどね(笑)

 大後寿々花。さすがは既にハリウッドデビューを済ましている「天才子役」。今回は大後寿々花に始まって大後寿々花に終わった。その存在感だけで他の出演者をみーんな食っていた。恐るべし、大後寿々花。
 将来どこまでその才能を伸ばすか大いに楽しみだ。



 さて、来週は堀北真紀がゲストで「夢想る(ゆめみる)」、再来週は深田恭子で「予知る(しる)」と続く。原作の「予知る」は「予知夢」の中では一番面白いと思った話だが、これに深田恭子が出演するってことはもしかしてあの役???ええ~っ!?って感じだ(爆)

 そして第八章が、「探偵ガリレオ」と「予知夢」を通じで一番面白いと思った「転写る(うつる)」(これの実験をテレビでちゃんと再現したら凄いぞ)、第九章は「霊視る(みえる)」(これは純粋にトリックなんだが・・・)、第十章(最終回?)がド派手な「爆ぜる(はぜる)」(これもテレビで再現したら凄い)と続く。

 「転写る(うつる)」と「爆ぜる(はぜる)」は楽しみだ~!
 来週のホマキのセーラー服も楽しみだけど(ぉ



探偵ガリレオ (文春文庫)

2007年11月10日土曜日

【映画】QR:なぜミキは明日香に涙したか?(ネタバレ)

��Rって書くとERっぽくてカッコイイな♪(ぉぃ

 以下、これから「クワイエットルームにようこそ」を観に行こうと思ってる方は読まないように(笑)
 ちょっとでもQRに興味が湧いたら、ぜひ映画を見てね!



 某SNSのコミュで、QRのクライマックスのシーンについて以下のような質問があった(若干編集あり)。
明日香が西野に部屋を荒らされ、癇癪を起こそうとした時、ミキは明日香を止めます。
その時、明日香はミキに「触るな。バケモノ!」と言って殴ります。
その後、明日香が再びクワイエットルームに入れられた時のシーンで、ミキは涙を流しながら「おーい。」って声をかけていました。

なぜ、あんなひどいことを言われたのに、ミキは泣いていたのでしょうか?

 この映画の核心部分だ。私も遅ればせながら映画を見て、このシーンの意味を考えてみた。

 考察の前に、ネットで調べると原作と映画には以下の違いがあった…って、原作を買って読みたいところだが、今月は既に「容疑者χの献身」とか単行本まで買ってしまい、お小遣いがピンチなのだ(爆)

原作と映画の相違点違っていればツッコミ歓迎!
○ ミキが拒食症になった理由
原作明かされない(トイレでは黙って立ち去る?)
映画「自分が1食、 食べなければ、世界のどこかの人が1食、食べられる。 そのシステムに気づいたとき、食べ られなくなったの」

○ 明日香がミキを殴った時の言葉
原作「精神病院の入院患者に対して絶対言ってはいけない言葉を言ってしまった」
映画「触るな。バケモノ!」

 原作では読者は婉曲的な表現から明日香が何を言ったか容易に連想できるが、映画だとそのものズバリになるので、苦肉の策で言い換えしたものと思われる。
 場面的には明日香がそのものズバリの発言をしても、それがすぐさま差別問題になるとは思えないが、全国公開のエンタメ性が強い作品である以上やむを得ない選択なのだろう。

私なりの解釈

 ミキ(蒼井優)は頭が良くて鋭い感性の持ち主。だから映画の冒頭に明日香(内田有紀)をクワイエットルームで見た時に「自分と同じ類の人が来た」と判断したのだろう。
 ミキは自分が食事を摂るだけの資格がない人間だと思っている。つまりはほぼ自殺願望者なわけだ。しかしながら同時に理性も持ち合わせているので、体重を増やして退院しようと努力もしている。明日香は、そんなミキの理性的な側面しか知らず、体質的に食事が摂れないだけの自分と同じ“正常者”だと判断していた。実はミキの判断が正しく、明日香は誤解していた...。

 その一方、明日香はミキから提供された情報(だったよね?)で「西野(大竹しのぶ)は過食症で食べては嘔吐する“異常者”だ」と認識していた。ただし、映画の中で西野が嘔吐するという場面は一度も出てこない(ここはツボだね)。

 そして、後半の問題のトイレのシーン。扉の向こうで嘔吐しているのが西野だとばかり思って、借金を返す話を始めた明日香は、扉を開けて出てきたのがミキだと知って驚く!
 「拒食症の自分が食べられないのに、過食症で食べては嘔吐する」と西野を忌み嫌っていたはずのミキが実は嘔吐していた!
 これだけでも明日香は「ミキは西野と同じ異常者だ」と思うだろうね。

 ところが、それに追い打ちをかけるようなシーンが続く。

 明日香に嘔吐していることを知られてちょっと自虐的になったのか、あるいは自分と同類である明日香なら甘えても良い ― 自分が苦しんでいる理由を話しても良い ― と思ったのか(多分両方かな)、ミキは明日香に拒食症になった理由を話し、明日香は自分と同類だとを告げる。

 このシーンの蒼井優の演技が本当にゾッとする。蒼井優は黒い衣装にドレッドヘアで厚化粧という出で立ちで、りょうに負けないほどの鋭い視線でガン飛ばしまくるんだけど、明日香に「システムに気づいたとき~」なんて話しかけている時は不気味さまで漂わせている。

 優ちゃん怖すぎ!!この映画の中で一番怖いシーンだぞ、ここは。

 正常だと思っていたミキが実は西野と同じ“異常者”だった。さらにそのミキから同類扱いされた。明日香大ショック!!

 で、我にかえると再びクワイエットルームで5点拘束。明日香はなぜまたここにいるのか、冷静に思い出す。

 信用していたミキに裏切られ、打ちひしがれて自室に戻った明日香が見たのは、明日香のプライベートを詮索して土足で踏みにじる西野の姿。コモノ(妻夫木聡)から明日香への差し入れを全部ぶちまけ、明日香の大事な銀のパンプスを履き、鉄ちゃん(宮藤官九郎)が書いた手紙を読み上げる西野。鉄ちゃんの手紙には、病院に運び込まれた日に明日香が「自分は生きる価値がない。死なせて」と喚いて睡眠薬を大量に摂取した結果、昏睡状態に陥ったという衝撃の事実が記されており、その事実を指摘してはしゃぐ西野に明日香は逆上、止めに入ったミキに「触るな。バケモノ!」と叫び殴り倒す・・・。

 大竹しのぶの不愉快極まりない演技。さすがと言えばさすがだけどね(汗

 結局、明日香は自分に自殺願望があることは紛れもない事実だと受け止める。自分は本当にミキと同類だった。一方でミキは、自分が明日香に言った言葉が、明日香の感情の起爆スイッチを入れたことに気付いたのだろう。ミキが自分の本音を話したのは明日香が初めてなのかも知れない。

 明日香とミキは同類なので、明日香がミキを殴った行為は、言わば自分自身を殴ったのと同じということ。それが自分の甘えから出た言葉に端を発していることを後悔してミキは涙したのではと思う。
ミキは見かけはクールだが、実は優しいコなのだろう。

 この「おーい」のシーンで二人はとても穏やかな表情をしている。特に蒼井優はそれまでの鋭い目つきが優しい眼差しに変わっている(ほとんどイッてる目つきで演技してるからね)。明日香が微笑み、ミキが涙するのは、普通なら立場が逆だと思うが、明日香には感謝の気持ちが、ミキには謝罪の気持ちがあったということだろう。明日香の誤解が解け、本音のレベルでお互いに共感できたということじゃないのかな?



 物語は、その後明日香が面会に来た鉄ちゃんに「『鬱陶しい』と言って」と頼んで実際に言われてちょっと嬉しそうにした ― 本当の自分と向き合う、自殺願望を克服して生きる覚悟ができた ― シーンにつながる。そして明日香の退院日。普段は退院患者の色紙にメッセージを書かないミキが赤い字で絶交を意味するメッセージを書く。閉鎖病棟での絶交は外の世界では信頼関係の証だろう。

 内田有紀や大竹しのぶが弾けまくってる中で、蒼井優は意外な程全面に出る場面は少なく、物静かな役どころ。しかし、このドタバタコメディの中でクールに演技して大竹しのぶに負けないインパクトを与える役を演じる蒼井優はやはり凄いというしかない。その蒼井優を起用した松尾監督も恐るべしだろう。


クワイエットルームにようこそ シナリオ&アーツBOOK

2007年11月8日木曜日

【映画】クワイエットルームにようこそ

「シネカノン有楽町2丁目」にようこそ
満席の映画館にようこそ
最前列にようこそ

・・・2時間弱頑張った私の首を褒めてあげたい(笑)


 ほんっとに久々に映画館で映画を観ました。だいたい封切りをすぐ見たいという欲求はなくて、普段はDVDレンタルで済ませちゃいますからね。

 午後は客先で会議があって終了後そのまま帰宅だったんで本当はもっと早く映画館へ行けたんですが、30分前なら余裕だろうと思って油断したのが間違いで切符購入時は残り12席。入場料が1000円だったこともあったのか大盛況でした。席は最前列の右端。
 客層は圧倒的に女性客で後はカップル、男性単独はかなりの少数派だったような?(笑)

 ま、まさかみんなクドカン見に来たのか!?

 台形に歪んだ画面に映る予告編を見ながら「字幕付の洋画じゃないことだけが救いだ」と余裕こいて来たことを後悔しました。しかし、始まってすぐに映画に引き込まれてしまって、歪んだ画面も気にならなくなり、あっと言う間の2時間弱でした。

 傑作です。素晴らしい作品でした。

 この映画、OD(オーバードーズ:薬物過剰摂取)で精神病院の隔離病棟に運びこまれた主人公、佐倉明日香が退院するまでの14日間を描いています。
 明日香がクワイエットルームで目を覚ますところからはじまり、その記憶を取り戻していくとともに、回想シーン等からどういう半生(それはもう半端でない程の転落人生)を送ってこの病棟に行き着いたかがわかって来ます。

 とにかく下品な下ネタ(NGな人は要注意です)、ドタバタ、ギャグ炸裂、スラップスティックなシーンの連続で、非常に重い話のハズなのに滅茶苦茶笑わせてくれます。クドカンは特に下劣でお尻は出すは、オナニーするは、着衣ながら内田有紀にピストン運動(ぉ)するは、その他にもゲロは出てくるは、鼻水はズルズル垂れるは、大量出血はあるはで、エログロナンセンスなこと極まりなし(地上波で放送する時はその辺はかなりカットされるかな~って、カットすると短編映画か!?)

 それが、クライマックスで明日香がクワイエットルームへ来た真実がわかるシーンでかなりシリアスになり、そのままシリアス基調で終わるかと思ったら最後にバカ笑い!(最後のシーンは原作にはないそうです)。

 下手に登場人物に感情移入すると裏切られるので注意が必要。かなり重い副作用付きだけど、二日酔い後の酔いざめスッキリ(?)のドラッグムービーってところでしょうか?(笑)

● 出演者について(独断と偏見で抜粋)

内田有紀(佐倉明日香)
 文字通りの「汚れ役」です。前半は乾いたゲロを顔や髪に張り付けたまま。特殊メイクもすごいの一言。よくもまぁ、ここまで最悪な主人公を演じたものです。その心意気に拍手。かつてのアイドルがここまで出来るのかとちょっと見なおしました。

蒼井優(ミキ)
 本作中、拒食症患者が3人出てきますが、本当に拒食症に見えるのは蒼井優だけです。ちょっとニヒルで達観したようなところがあり、セリフの喋り方は気だるい系です。今回は眼力がすごいので、終盤に本性を現わした時はちょっと背筋が寒くなりました。普通に見えて実は異常。やっぱり蒼井優はすごい。

画像平岩紙(ナース山岸)
 個人的に今回一番のヒットです♪
 超癒し系な看護師役。大人計画で一番贔屓な女優なので期待していたんですが、期待どおり。って言うか、萌えました。萌えまくりです(笑)。本作品中一番の癒し系にして萌えキャラです!
 明日香に流動食の説明をするところや、クロネコヤマギシするところもとても可愛いです(^ワ^)

りょう(冷酷ナース江口)
 冷徹な看護師役なんですが、結構好きですね。クールビューティさを如何なく発揮してくれます。ステンレス人間に変身するところと、過去に重傷を負ったというシーンは爆笑モンです。

妻夫木聡(コモノ)
 ただただ馬鹿です(笑)。入院患者以上に異常な役。ここまでキレた妻夫木は空前絶後となるかも?

徳井優(白井医師)
 爆笑です。出演はほんの少しですが、登場シーンが強烈!!
 ちなみに声はアフレコです。

庵野秀明(松原医師)
 絶対死んでるだろ、あれは(爆)

大竹しのぶ
 個人的にはちょっと残念。役柄的にまったく感情移入できなかったからかな?
 演技自体も「大竹しのぶならこれくらいはやるだろうな」という程度の演技でした。

画像


 これだけ重い話でこんなに笑って良いのかよってくらい笑いました。もちろん心にズシンと来るんですが、ラストの後味が良いので見終わった後はなぜか爽快で元気になれます。
 見て損はありません。1000円だったので十分おつりを貰った気分でした。そのおつりでパンフ買いました(笑)
 家族みんなでという映画ではありませんが、夫婦、カップルで観に行けば、楽しめるし鑑賞後の会話もはずむと思いますよ(ただし映画の後食事ってのはNG)。

そうそう、
全国の平岩紙ファンは絶対観るべしっ!(爆)
何人いるんだ?

■ 共感したレビュー
(´-`).。oO(蚊取り線香は蚊を取らないよ)
↑もろにネタばれなので鑑賞予定の方は注意

映画「クワイエットルームにようこそ」公式サイト

特集『クワイエットルームにようこそ』

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

2007年11月7日水曜日

【ドラマ】「ハチミツとクローバー」がTVドラマ化!

 個人的には映画版はかな~り微妙だった「ハチクロ」が来年1月8日からフジテレビ火曜午後9時枠でドラマ化だそうです。

「ハチクロ」ドラマ化!成海璃子が“飛び級”女子大生に挑戦

 同じくフジテレビが製作したアニメ版はかな~り面白かったんで、ドラマ的には今度は期待できるかなとは思うんですが、花本はぐみ(はぐちゃん)役が成海璃子!?

…微妙(爆)


 成海璃子は好きです。演技巧いですしね。どちらかと言えば、「受験の神様」の菅原道子みたいな役よりもっと感受性豊かな役の方が似合うと思います。理知的な雰囲気は十分ありますけどね。そういう意味でははぐちゃん役はかなり合うかも知れません。

 ただ、問題は15歳の年齢と163cmの身長。

 映画版で蒼井優は160cmの身長では、はぐちゃん役はイメージが合わないことを理由で何度も辞退したそうですが、監督から低年齢の子役を起用するとロリコンになってしまうということで説得されたようです。結局、蒼井優はとても柔らかい雰囲気と内気で人見知りな性格を非情に巧く表現した独自の“蒼井はぐ”を演じたわけです。

 成海璃子の場合、大人びた顔で大学生といわれてもあまり違和感がないかもしれないし、理知的な雰囲気は十分だけど、はぐちゃんらしい雰囲気をどうやって出すのか?

 まぁ“天才子役”ですから、これからどういうはぐちゃんを身に纏うのか、あまり先入観は持たずに期待したいと思います。

 成海璃子以外の配役は竹本祐太をジャニーズJr.の生田斗真が演じる以外はまだ未定だそうです。しかし、これでテーマソングをスガシガオかスピッツの曲になる可能性は消えたな...

 ちなみに、私の脳内イメージは「ハチクロ」の実質ヒロインの山田あゆみ役は新垣結衣しか考えられないんですが。主役じゃない連ドラ出演はもう無理?

 ちょっと“美乳”と言うには成長不足かも知れませんけどね(爆)


ハチミツとクローバー スペシャル・エディション (初回限定生産)

2007年11月6日火曜日

【ドラマ】ガリレオ 第四章「壊死る(くさる)」

 今回は殺人トリックは原作の「壊死る(くさる)」と同一なものの、設定はまったくのオリジナル。なぜオリジナル設定にしたのかは簡単に想像できます。原作の凶器が比較的入手しやすいので模倣犯が出てくることを危惧したんでしょう。

 というわけで、今回は原作に捉われずに楽しめました…けどね...(笑)

 脇が甘いぞフジテレビ(爆)

 今回の場合、いきなり犯人が殺人を犯す場面から始まるのは無問題ちゅーか、かなりグッドです。

 ただねぇ、原作は前例がないから壊死と心臓麻痺の因果関係を結び付けられない=凶器がわからない、という前提ですからね。何度も人体実験して死体に共通点ができちゃまずいっしょ?

 せめて、動物実験にするべきです。

 それから犯人が内海を殺そうとするのもまずいっしょ?幾ら事件として追っているのが内海刑事(柴咲コウ)一人だとしても、その内海刑事が心臓麻痺で死んで胸に壊死があった日にゃあ、本庁が総動員して捜査はじめまっせ!

 しかも睡眠薬飲ませてお風呂で心臓麻痺起こさせたら警察が疑うに決まってますからね。それで宿泊名簿や内海刑事が宿泊した経緯を捜査すれば簡単に容疑者に行き着くと思うんですが?

 踊る大捜査線を製作したフジテレビとは思えないくらい警察をバカにしてません?
 第二章で原作は死後3日ほどで発見されたOLの死体が4週間も発見されなかったみたいな杜撰な設定があったけれど、今回もなんだかかなり杜撰です。

 まぁ、内海を殺すつもりじゃなくて、後で夜這いに行くつもりなら、内海の部屋のキーを開けてあげてから自分の部屋のカードキーとすり替えて後から部屋に侵入するというトリックは実用性がありそうですが(ぉぃ

 そうは言っても湯川(福山雅治)と田上(香取慎吾)の駆け引きなど、ドラマ的には結構楽しめました。それから栗林(渡辺いっけい)は被害者でもないのにかなーりクサッてましたね(笑)

 ついでにいきなり死んじゃう女子大生はこの人でした(笑)。いやぁ、乳首が見えるんじゃないかとドキドキでした(爆)。最近は“優”の方が好きだけど“そら”もイイっす(ぉ

 つーか、殺すより夜這いした方がいいっしょ?(ぉぃぉぃ

 さて来週のサザエさんは「絞殺る(しめる)」です。未来の大女優候補、大後寿々花ちゃん登場ですね。「セクシーボイスアンドロボ」は視聴率は散々だったけれど、演技力はかなりのものです。期待しましょ。って、もちろんプールのシーンはありませんよ。つーか、わたしゃロリコンじゃありませんから(爆)

あらすじ(公式サイトから)
ある豪邸の室内プールで若い女性の水死体が発見された。両親が旅行に出かけていた間に起きた出来事らしい。検死の結果、死因は心臓麻痺によるものと思われた。だが、何故か胸の皮膚の一部だけが壊死していた。そのことが気になって湯川(福山雅治)のもとを訪れた薫(柴咲コウ)は、何故皮膚が壊死したのか、と彼に尋ねた。しかし湯川は、「それは物理学の範疇じゃない」などと言って薫を追い返してしまう。

ある日、某大学で開かれた物理学会での講演を終えた湯川は、ひとりの学生に呼び止められる。講演の内容に感銘を受けた、というその学生の名前は、田上昇一(香取慎吾)。その大学の院生だった。田上の名前に覚えがあった湯川は、記憶をたぐり、ひとつの論文を思い出す。その論文の内容に興味を持っていた湯川は、田上に名刺を手渡すと、いつでも連絡してくれ、と言って彼と別れた。するとそこに、薫が現れる。水死した女性・篠崎怜子(蒼井そら)は、この大学の学生だったのだ。

湯川の姿を見つけた薫は、再度彼に相談を持ちかけたが、全く取り合ってもらえない。そのとき、ふと掲示板を見た薫は、そこで “皮膚疾患の先端技術”という文字を見つける。皮膚が壊死した原因がわかるのではないかと思った薫がその研究室を訪ねてみると、そこにいたのは白衣姿の田上だった。薫から事件の話を聞いた田上は…。



容疑者Xの献身.

2007年11月5日月曜日

「逆ギレ辞任だ」 民主内から批判の声

 なんだか最近、そういう批判を聞いた覚えがするんですが(笑)



 流行ってもない言葉を流行語だと強弁したマスゴミは今回どーするんでしょうね?

小沢一郎氏辞意表明にネットで「オザワる」と皮肉
 小沢一郎民主党代表の突然の辞意表明を受け、ネットでは「アベる」「アサヒる」に続き、「オザワる」という言葉がささやかれている。..........≪続きを読む≫



2007年11月1日木曜日

【映画】ニライカナイからの手紙

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 “直球勝負”の佳作。

 この映画、ストーリーの複雑さとか、意外性とか、ひねりなどを求める人にはお薦めできない。って、いきなり「お薦めできない」って書いてどうする?<自分(苦笑)

 多分、その部分でこの映画の評価は二分される。ネットでレビューを読むと評価がかなり両極端な気がする。この映画に作為を感じる人はきっといつも作為的な映画に毒されているんでしょうねぇ...。

 私はと言えば、この映画のDVDをしっかり買ってしまった。蒼井優の記念すべき単独主演作品としても手元にずっと置いておきたい1本だ。映画館で観ていたらきっと蒼井優に萌え死んだに違いない(ぉぃぉぃ

 野球で言えば「ど真ん中の直球勝負」なストーリー。熊澤監督は配球バレバレでの勝負を指示している。もちろん、蒼井優という邦画界期待のエースが、初先発のマウンドに立っているからだ。

 その蒼井優の演技は「花とアリス」でも自然体だったが、この映画でも自然体。いや、自然体と言って良いものかどうか? 不自然と思えるほどに自然だ。

 まず、DVDのジャケットやメニュー等で使われている写真がパッと見「本当に蒼井優か?」と思うくらい衝撃的。決してノーメイクではないのだが、沢尻エリカや長澤まさみ、特に綾瀬はるか(笑)辺りだったら絶対NGだろう。蒼井優はもともと綺麗にとってもらおうという意識もないらしい。なんとも潔い。

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普通の高校生(でも可愛い{%heart2_a%})


 風希が島を離れるまでのシーンも実に自然体で、朝食、通学、学校生活、放課後と竹富島の高校生がどんな日常を送っているかが違和感なく伝わってくる。田舎の普通の娘を演じさせたら蒼井優の右に出る者はいないだろう。

 それでも蒼井優はチームプレイに徹している。彼女の一挙一動に目を奪われるが、決してスタンドプレイではない。換言すると、映画の中に“女優・蒼井優”は存在していない。映画の中で息づいているのは竹富島に住む安里風希という女の子だ。

 また、この映画は出演する“プロの俳優”がかなり少ない。蒼井優(安里風希)、平良進(安里尚栄:風希の祖父)、南果歩(安里昌美:風希の母親)、金井勇太(海司:風希の幼馴染)、かわい瞳(鳩山レイナ)、比嘉愛未(美咲:風希の幼馴染)、中村愛美、斎藤歩、前田吟。それに織田哲郎がカメオ出演しているぐらい。他に多数出てくる出演者はほとんどが演劇未経験者。子役は沖縄県内でオーディションを実施して起用。高校の先生や生徒、竹富島の島民は実際の先生であり生徒であり島民だ。竹富島郵便局はセットだが、郵便局員は実際の郵便局員。だから子供たちのシーンや、島民達のシーンはかなりの学芸会なのだが、監督はそれで良しとしてしまっている。

 制作費がなかったと言えばそれまでかも知れない。だが「観客に実際の竹富島の生活感を感じてもらおう」という意図があったのではないか?

 そんな中にも溶け込んでしまう蒼井優はすごい。「どんど晴れ」の比嘉愛未(これが女優デビュー作)の方が沖縄出身にもかかわらず浮いて見えてしまう。 ― 彼女は蒼井優のファンらしい。がんばれ、愛美ちゃん。

 というわけで、名だたる名優が出ているわけでもない。ストーリーにも捻りはない。コミカルなシーンもほとんどない。じゃあ竹富島の美しい自然を徹底的に映しているかというと、映画の中盤は東京で話が進むし、竹富島の映像も曇天でのシーンが多い。

 それでも、この映画には「うつぐみの心」を持った竹富島の島民の気持ちがぎっしり詰まっている。その代表としての安里風希の3年間の成長を丁寧に描いた、暖かく切ない物語になっている。

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どうして話を聞いてくれないの?



 以降、いろいろと思ったこと(ネタバレあり)

● 題名からしてネタバレでしょ?
 題名の「ニライカナイ」の意味を知っている人には簡単に結末が予想できてしまう。たとえ知らなくても冒頭で安里昌美(南果歩)が風希へ「ニライカナイ」について説明するシーンでかなりの人が察してしまうだろう。熊澤尚人監督の翌年の作品「虹の女神 Rainbow Song」では、冒頭にいきなり核心部分を提示している。だから「ニライカナイからの手紙」でも積極的に結末を隠すつもりがなかったのだろう。
… この感想は最初冒頭に書いていたのだが、ネタバレなのでここに移した(笑)

● 有り得ない?物語の背景
 ストーリーの大前提である「風希が母と別れて20才になるまでの13年間、母親の消息がわからない」という設定はかなり無理がある。

 安里昌美と安里尚栄は実の父娘と考えるのが自然。昌美は夫が他界した後、実家で生活していたと考えられる。母の消息がまったく漏れ伝えてこないということは父方の親戚は竹富島近辺の人ではないということだろうか?

 余談だが、父の遺影の人は特典ディスクに出てくるので、竹富島の方のようだ。ご愁傷様(違)

 少なくとも父方の祖父母は早くに他界してしまっているのか?
 ただ、昌美を演じる南果歩の八重山方言の下手さ加減(と、待ち合わせ場所に東京を選んだこと)で、実は昌美は他所から来たという推察もできるにはできるが...。

 一方で、尚栄だけでなく島の大人たち全員が昌美の望みを叶えようとしていたはずだ。人口300人程度の小島だけに、島民全員が昌美の希望を叶えようとしない限りこの話は成立しない。海司の両親(映画には出てこない)も海司を通じて風希の動向を尚栄に伝えていたのだろう。だから尚栄は風希が相談に来る前に内容を知っていた。尚栄が寡黙なのは、風希に真実を話せない辛さからだろう。風希が東京に旅立つ日に神様に祈る尚栄の姿が、彼の優しさと風希への深い愛情を現している。肝心の20歳の誕生日に手紙を風希に渡すタイミングも逸してしまうのも彼の辛い気持ちからだ。寡黙で不器用だけど実はとても優しい祖父という役柄を平良進が巧く表現している。

 またまた余談ながら、平良進がメイキングではとても気安いおじいさんだったのでちょっとびっくり。「ちゅらさん」のオバァ役で有名な平良とみとは夫婦だそうだ。

 子供たちも、小学生の美咲が風希を泣かせるエピソードや20歳になった風希が帰省した際の海司の対応で、真実を知らないにしても感づいていたと思われる。

 現実的には有り得ない設定だが、舞台を竹富島にしたことで説得力を持たせたということだろう。って、そんな事を突き詰めて考えるだけ野暮かも?(笑)


● 映画全般を支配する色彩
 いかにも沖縄の離島をイメージするようなコントラストの強い明るい色彩で映されるのは冒頭の昌美と風希が砂浜で戯れるシーンぐらい。後はほとんど曇天下だ。実際に竹富島で撮影した期間が二週間で、メイキングを見ても雨の中で撮影しているシーンがかなり出てくる。蒼井優がメイキングでロケの前後にまったく予備日がないと言ってるのでかなりの強硬日程だったのだろう。

 ただ、風希が東京で写真を撮るシーンを見ていると意図的に映画全体のコントラストを抑えたとも思える部分がある。

 フィルム式のカメラの場合、カメラ雑誌への投稿写真に使うフィルムはリバーサルが主流だ。多くのカメラマンがコダクロームKR64のような比較的感度(ISO)が低く微粒子の外式リバーサルフィルムを使う。ラティチュード(露光の範囲)は狭いが、コントラストの高いはっきりした写真が撮影できるからだ。ところが、風希はずっとネガフィルムを使い続けている。ネガフィルムを使うと、コントラストが低い、柔らかく温かみのある写真が取れるからだろう。

 彼女の写真の作風が風希の性格、あるいは島民全体を象徴している気がするし、そうやって観ていると、映画全体のトーンも双方とも逆光の撮影が多いし、映像と風希の写真がシンクロしている気がする。

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上京した田舎娘


● 沖縄万歳の映画ではない
 風希が「写真の勉強をするために東京に行きたい」というのは「母は東京にいる」という設定と絡ませるための必然と言えるが、19歳の風希に送る手紙の待ち合わせ場所が石神井公園なのは意外だった。
 風希が高校を卒業をしたら東京に出てくるという前提で昌美が手紙が書いたとは思えないし、尚栄も「20歳になるまで島を出ちゃならん!」と常々言っていた。それでも風希をわざわざ東京に呼んだ理由は昌美が大好きな東京の景色を見せたかったからだ。しかも昌美の大好きな石神井公園の桜が開花するのは、風希の誕生日からさらに2ヶ月後になる。
 そして最後のシーンが風希が母親が好きだった桜を撮影する石神井公園のシーンだから、その後彼女が元気に東京で暮らしていることがわかる。

 設定自体はちょっと不自然な気がするが、ラストを沖縄でまとめて終りみたいな「沖縄万歳」映画ではなく、“夢を追うなら時に故郷を捨てる必要もある”というリアリティがある。


● お気に入りのシーン
・東京で迎える19歳の誕生日
 やっと慣れはしたものの、気持ち的にアシスタントの仕事だけで精一杯な風希のところへ海司が訪ねてくる。海司は風希へ母からの手紙を届ける以外にも、想いを告白する目的があったのだが、落ち込んでいる風希を見て励ますだけで帰ってしまう。
 海司としては、風希が色白で女っぽくなったとを褒めて、風希が喜んだら告白のきっかけにしたかったようだが、風希は「あんまり外出てないからね」とまったく海司の“下心”に気づかない。
 このすれ違い具合を金井勇太も巧く演じている。

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仕事に慣れて余裕の表情


・帰島した風希を島民が励ます
 個人的に映画中で一番のシーン。全員で風希にウソを付きながら成長を見守ってきた島民が、20才の誕生日に帰島して真実を知った彼女に次々に届け物を持って励ましにくる。
 以前「ペイ・フォワード 可能の王国」という映画で同じようなシーンを見てあまりの嘘臭さに興ざめしたのとは対照的な感動的なシーンだ。ー 「ペイ・フォワード~」はアカデミー賞俳優2人+天才子役の3人が出ていたのに最後に思いっきりぶち壊してくれた。

 この時の風希の表情がなんとも良い。風希は自宅に帰り着いてから3回泣く。実際のところ、帰島してからの20分間ほとんど涙を流しっぱなしだが、3回とも泣く理由が異なるので、蒼井優もそれぞれ違う表情をしてみせる。2回目に悲しさと嬉しさと感謝が混じったような複雑な表情で涙を流すのがこのシーン。引き合いに出しては悪いが、長澤まさみに辺りではこういう泣き分ける演技はできない。蒼井優の真骨頂と言える演技だ。

・二人の朝食シーン
 映画中、尚栄と風希の朝食シーンは3度出てくる。高校へ行く前の日常の一コマとして、二度目は風希が尚栄の反対を押し切って上京する朝、三度目は風希が帰島した翌朝。この三度目の朝食で二人が抜群の演技を見せてくれる。

 ほとんど泣き明かして突堤のポストの横で朝を迎えた風希が、それでも日課だった朝の道路掃きを終えて尚栄と朝食を食べる。風希は帰島した尚栄から母からの手紙を受け取ってすぐガジュマルの木の下へ行き、朝まで帰宅しなかったので、二人はほとんど会話を交わしていない。そもそも風希は母のことと上京を反対されたことで尚栄に対してわだかまりがあったし、昨日は尚栄の気持ちを察することができずに心ない言葉を投げかけて石神井公園に置き去りにしてしまった。尚栄にもずっと嘘を付き続け、東京できちんと手紙を渡し損ねた負い目がある。
 黙々と朝食をとりながら目でお互いの様子を窺う二人。前2回のパンフォーカス中心の朝食シーンとは異なり、画面は顔のアップ(視線)を中心に二人を追い続ける。そして、尚栄がポツリと「うまい」と言うと、風希がほんの一瞬だけ、ほとんど目だけで微笑む。
 この時の蒼井優の表情が素晴らしい。ほんの一瞬の表情の変化だけでわだかまりが消えていることを現してる。そしてカメラはテーブルの真ん中に置かれたニンニクの漬物のアップに変わり、二人の箸がが交互に漬物をつまむシーンを写す(このニンニク漬けは祖父と娘の絆を象徴するアイテムとして使われている)。

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一瞬見せる表情がいい


 その後、風希が東京に戻った後、突堤のポストを開けた尚栄が風希からの手紙を手にして穏やかに、そしてとても嬉しそうに微笑む。この時の平良進の表情も本当に素晴らしい。


 欲を言うと、南果歩が顔色が良すぎて病人に見えないし、方言も拙いので、あめくみちこのような沖縄県出身の女優に昌美を演じて欲しかった気はする(やっぱり昌美は余所者?)。また、最後の手紙の部分はさすがに長い気がする。

 でも、それが些細な事だと思うくらいの佳作に仕上がっている。素直に、優しく暖かい映像と演技に浸れる映画だ。

共感したレビュー:
裏の窓から眺めてみれば
LACROIXのちょっと辛口映画批評
アンディの日記 シネマ版

ニライカナイからの手紙

「鳩山る」ってどうよ?

 クルトンパパさんの「アサヒる&チューニチる」というエントリを読んだ後、以下の記事を読んで思いついた(笑)

鳩山法相「アルカイダ」発言…兄・由紀夫氏「国会で徹底追求」

「友人の友人はアルカイダ」鳩山邦夫法相珍発言の波紋
鳩山邦夫法相が29日、外国人特派員協会での記者会見で「友人の友人はアルカイダで、バリ島の事件にも関与していたらしい」という旨の発言をしたことが、現在ネット上でも大きな話題となっている。..........≪続きを読む≫

 是非是非、兄には弟を徹底追及していただきたいものだが、それは置いといて某中日新聞(某になってない...)の編集委員みたいに粘着に「アベる」が流行語だと強弁するバカに聞いてみたい。

 鳩山る:無思慮、無分別、無配慮な発言をすること

って、定義したらどうよ?

「お前、それ鳩山ってるよ!」てな具合に使うわけだ。

 鳩山邦「先日の法曹の鳩山った発言についてうかがいたい」
 鳩山由「私は決して鳩山っていません」
 鳩山邦「いや、明らかに鳩山ったでしょう?」

みたいな応酬が続くことになる。

 これはこれで、バカバカしくてほのぼのしていて良いかも?(笑)

って、考えれば人の苗字を活用形にして流行させようという行為が実に無思慮、無分別、無配慮かわかるでしょう?
 もし「アベる」なんて言葉が本当に流行したら、日本中の学校のアベさんがいじめられることになる。
 所詮、苗字に活用形をつけて流行らせようという行為自体が非常に愚かなことだ。川北隆雄という輩はジャーナリストの資格もないバカだと断言しておこう。

 余談だが、鳩山由紀夫ちゃんは「弟の友人の友人がアルカイダ」なんだから、責任を持って事実関係を解明してよね♪



2007年10月31日水曜日

【ドラマ】ガリレオ 第三章「騒霊ぐ(さわぐ)」

 話の運び方はかなり原作に忠実。ただ、霊安室から研究室のくだりはドラマオリジナル。

 例によってうちのかみさんは、夫婦と借金取りの関係から弥生の夫が殺されて畳の下に遺体があるところまでは途中でわかっていた。

 メインは犯人探しではないから、その部分がわかっていてもドラマ的には問題ない。しかしこの事件の場合、肝心のポルターガイスト現象が科学的に説明されても、視聴者はいまいち納得できない。前回の蜃気楼のように誰にでもわかるように再現できないからだ。

 実はこの原作は、湯川が現象を科学的に証明して見せるものの、それで誰もが納得するというストーリーではない。弥生に真相を伝えに行く草薙が、今回ばかりはポルターガイストの原因は霊の仕業だと主張し、湯川が了解して研究室から送り出すところで終わる。

 ゲストに広末涼子を迎えているから、そんなところで終わるわけには行かないにしても、、このドラマの脚本はそういう含みを持った部分を生かしきれていない。

 原作を読んで面白かったからと期待して観ていると肩透かしを食らってしまう。

 脚本家の理解が足りない…なわけではないだろう。普通に小説読めばわかることだ。となると「月9」としての方針なのか?

 そういう意味では霊安室‐研究室のシーンは違和感だらけ。なんだか無理やりラブストーリーに持って行きたいという下心が見え見えだ。

 やはり、先に研究室を持ってきて、内海が湯川に「弥生さんには、『私もあれはご主人の霊が知らせたと信じています』と言って良いですか?」と言わせて、湯川が「真実は解明された。私はそれで良い。君が弥生さんにどういう説明をしようがそれは君の自由だ。」くらい言わせてから霊安室のシーンにした方が自然な気がした。

 草薙が内海になるのは良いとして、原作の微妙なニュアンスを潰さないように気をつけてドラマを作って欲しいと思う。福山人気で持ってはいるが、初回以降視聴率はジリ貧状態だ。これまでの「東野圭吾作品を題材にしたドラマや映画は駄作ばかりで不人気」という有難くない評判を覆すチャンスだから。

※詳細なレビューはちーずさんのどらま・のーと弐で。おすすめです。


予知夢 (文春文庫)

牛乳シーフードヌードルが登場

“伝説”の牛乳シーフードヌードルを商品化



 ( ´_ゝ`) ふーん。

 個人的には牛乳より、豆乳で作った方が美味いと思う。
 もちろん、調整豆乳はだめ。



2007年10月30日火曜日

孫の手も借りたい(違)

 なぜだろう。なぜ、こんなに鮮明に覚えているんだろう?
…といっても、大して時間が経っているわけではないのだが...。



 それは一家団欒の時間だった。テーブルを囲んで家族4人、冬休みか春休みに何処へ行こうかという話合いの最中だった。息子が来年の春で小学校を卒業するので、卒業記念もかねて一週間くらい海外旅行をしようという話をしていたのだ。

 息子は海でシュノーケリングを体験したいと言う。オーストラリアのケアンズの海で、紫色の舌を出したシャコ貝を見ながらシュノーケリングをした話をすると興味深々だ。
 娘はフランスへ行きたいと言う。家内が独身時代に行った時の話を興味深く聞いている。特にルーブル美術館が見たいようだ。それから「ベルサイユの薔薇」の世界に浸ってみたいらしい。

 家内は、年末の海外ツアーは何処も一杯だったので、取り合えず年末に沖縄へ行ってみたいと言う。ただ、沖縄本島のツアーなので、私にとっては「美ら海水族館」くらいしか見所がない。八重山諸島、特に竹富島には是非とも一度行ってみたいのだが...

 などと考えていた時、それは突然やって来た。

「痒い」

 背中が痒い。凄く痒い。とても痒い。たまらなく痒い。しかも最悪なことに背中に手を回して掻こうとしても痒い場所は手が届かない場所だ。

 しかし、大丈夫だ。我が家には麗しい家族愛がある!

 というわけで、息子に「ちょっと背中掻いてくれよ、手が届かないんだ」と頼んだ。
 すると息子は「手が届かないの?僕は届くよ」と自分の背中に右手を上から、左手を下から差し出して握手して見せた。

 …おいおい。

「じゃなくて、お父さんの背中掻いて欲しいんだけど?」

 しかし、息子は聞こえなかったのか、再び旅行の話に戻って、家内に「グアムで良いから泳ぎに行きたい」と力説している。おいこら、人の話をちゃんと聞けよ...。
 だいたいうちの息子は自分の話に夢中になってるといつもこうだ。人の話を最後まで聞いてないのだ。しょうがないので、娘に「ちょっと背中掻いてよ」と頼んだ。

即答で「イヤ...」orz

 なんだか「イヤ」の後に小さな声で「キモイし」って聞こえたような気がする。おいおい、父親に向かってキモイって...。14年前にお前のウンチまみれのお尻を拭いてオムツを替えてやった恩を忘れたのか? もう深夜アニメなんか録画してやらないからな、この親不幸者!!

 じゃ、じゃあって家内の・・・って、口を開けようとした瞬間、氷のような一瞥を浴びた。さすがは恐妻会会長の細君だけのことはある。

 …ううっ、夫婦は助け合ってこそ夫婦じゃないのか(号泣)。

 我が家の麗しい家族愛はどこへ行ったのだ?お父さんは悲しいぞ。

 というわけで、困った。とにかく困った。四面楚歌だ、背中の痒さはどんどん増して来ている。この痒さにいつまで絶えなければいけないんだ。この世には神も仏もいないのかっ!!

 もう旅行なんてケアンズだろうがフランスだろうが草津だろうがどこでも構わない。とにかく誰か俺の痒みをなんとかしてくれっ!!

 と、その時、我が家には秘密兵器があったことを思い出した。そうだ、背中が痒いときにはやはりアレだよ。
 「これで万事解決だ!」と思い、にこやかに家内に尋ねた。

「ねぇ、孫の手はどこにある?」

 しかし、家内は無表情で応えた。

「知らない」

 がぁ~んっ!がぁ~んっ!がぁ~んっ!がぁ~んっ!がぁ~んっ!
 ウソだ、ウソに決まっている。夫婦間にウソがあって良いのか!!

 この部屋のどこかに孫の手があったはずだ。片付け魔の家内が知らない可能性なんて1%以下じゃないのか?
 ダイソーで税込み105円で買ったあのピンクの孫の手、あれさえあれば絶望にひしがれた俺の人生が再び希望に満ち溢れるというのに!!

 ショックついでに尿意までもよおしてきた。背中が痒い。でもトイレにも行きたい。どっちを優先すべきか、背中が痒いのを我慢してトイレに駆け込むべきか、トイレを我慢して背中の痒み解消に全力を注ぐべきかっ!

 ああ、頭がパニックだ。考えがまとまらん!!

「誰か、誰か助けてくれぇ~~~!!!」

と、叫ぼうとした瞬間、目の前が真っ暗になった。その時なぜだか世界は漆黒の闇の中だった。



 気がついたらベッドの上だった。あまりの痒さに意識を失ってしまった・・・はずはない。
 時計を見たら午前4時半だった。

「・・・夢だったのか?」

 ただ、背中が痒いのは紛れもない現実だった。夜寒かったので、フリースのパジャマを着て寝ていたのだが、布団の中の温度が上がって背中が痒くなったらしい。

 寝るときは枕元に孫の手を。人生備えあれば憂いなし。人間万事塞翁が馬だ(謎)


携帯式孫の手 のび手くん

2007年10月29日月曜日

【映画】サマータイムマシーン・ブルース

蒼井優ちゃん出てませんが、何か?(笑)
って、上野樹里ちゃんが自然体な好演で出てますので、無問題です(爆)

画像
とても自然体には見えない(笑)


 劇団ヨーロッパ企画の戯曲を「踊る大捜査線シリーズ」の本広克行監督が映画化。

 って、これ劇場映画じゃないでしょ?劇場映画として成立しないでしょ?

と言いたくなる作品。

 冒頭のシーンがほとんど意味不明で理解不能。しかもシーンシーンのつなぎ目がテープ早回しの音とともに突然切り替わる。

 とりあえず見せ場としては、パピコの中身が噴出してからエアコンのリモコンにコーラがこぼれるまでのドミノ倒しはある。このシーンは“ミルククラウン”の撮影ができる超ハイスピードカメラを使って、カメラの画像をハードディスクに直接記録して撮ったらしい。飛び出すパピコの中身やこぼれ落ちるコーラは、CGではなく本物を使っているそうです!!

 こんなB級作品でよくもまぁ、そんな制作費の無駄使いを(呆)

 話がちゃんと見えてくるのは“本編”が始まってからさらに10分、タイムマシーンが登場してから。そのタイムマシーンを使って壊れる前のリモコンを取りに行くという設定が実にセコイ(爆)
 後は冒頭のつまらない映像が伏線ネタの嵐となって残りの60分は怒涛のように話が進んでいく。ネタバレなしでナンボの映画なのでそこは見てのお楽しみ。

 個人的には、
��.本編を一度全部観る。
��.日本語字幕を表示して、解説音声付きでもう一度本編を観る。
 ― 本広監督と上田誠(脚本)の喋りがかなり楽しく退屈しません
��.再度普通に本編を観る
というのが正しい楽しみ方だと思う。1枚で3度美味しいDVDだ!

言い換えれば、
そうやって観ないと全体が把握できない(爆)

 これを劇場で観た人たちって、どこまでネタを把握できたんだろう?
 2度見ればある程度は把握できるだろうけれど、かと言って2回観に行くような映画じゃない。暇な人が連続で2回観ていたら「ああ、なるほど」って思うだろうが、2回観る余裕がなかった人達って?マークがたくさんついたまま映画館を後にしたんでは?

 だからDVDでリモコン片手に観てこそ真価?がわかる映画だ。
 もとの戯曲はSF研の部室という狭い世界ですべての物語が進むからわかりやすいだろうけれどね。

 SFのパラドックスネタが好きな人ならたまらなく面白いこと請け合い!オススメです!!


サマータイムマシン・ブルース 2005 舞台版

2007年10月26日金曜日

【ドラマ】過去からの日記

画像 「世にも奇妙な物語」で2004年の秋に放送されたものです。非常に人気が高く、動画投稿サイトではフジテレビの削除要請で消される度に復活するということを繰り返しているようです。

 というわけで、暇だったので消されても内容がわかるように文章に起こしてみました。


「過去からの日記」

 新刊書の中扉に“山岡貴志”とサインを走らせる。
(サインの日付が4.8.30なのはミス?)
「これで良いか?」

 「おい見ろよ。我らの作家先生のサインだぞぉ!」
 山岡がサインした中扉を見せびらかせて友人がおどけてみせる。
 テーブルで起きる拍手と歓声。
 「やめろって!」
 照れたように言う山岡。でも悪い気分はしない。

 パブレストランのテーブルに集う数人の男女。大学時代の仲間たちの楽しい語らい。

 「へぇぇ!でも凄いよなぁ、ホントに夢叶えたんだから」
と本を手にした友人が言う。
 「言っとくけど、コイツがデビューできたのは俺が出版社にいたおかげなんだからなぁ」
編集部に勤める別の友人が得意気に口を挟む。

「で、新作は…いつ出るんだ?」
「まぁ、そのうちな...」


…それから3年。

 作家としてデビューしたのはもう3年前。それ以来、1冊も本は出ていない。当然それで食べていけるはずもなく...

 波止場の廃材置き場。船から積み降ろされた廃材を運ぶ労働者達。その中に山岡がいた。

 …これが現実。ここから抜け出すためには、新作を出すしかない。

 時は2004年8月31日、山岡は古本屋の前の棚で自分の本「あこがれ」が平積みされているのに気づいた。しかも5冊が束になってたったの300円。
 山岡はいたたまれない気持ちになり、その束を買って家へ持ち帰った。

 彼が住んでいるのは古い小さなアパート。机に向かった山岡は、本をたばねている紐をほどいた。
 すると5冊あると思っていた自分の単行本は4冊で、1番下になっていたのは日記だった。彼は何気なくしおり紐のかかっている部分を開いた。

8月31日...。今日だ。

 そこにはピンクのペンで、
8月31日 {%clear_a%}
 今日も何もいいことがなかった。
と書かれていた。

前の日もまたその前の日も、日付とお天気マークが違うだけで、後は同じ、
今日も何もいいことがなかった。
という1行だけが書かれている。

 山岡は万年筆を取り、今日の日付の日記に
俺も、同じ
と追記した。

何もないよ、いいことなんて...。

すると、山岡が書いた文の下の空白に
俺って誰ですか?
 人の日記にイタズラしないでください。
と文字が一文字ずつ浮き上がってきたではないか!

 思わず、後ろにのけぞる山岡。

「なんだよ、これ!?」

 気味が悪くなった彼はあわてて日記を閉じた。


 翌日、山岡は昨晩の不思議な出来事が頭から離れず、ついつい作業現場に日記を持ってきていた。

 初めはどういうことか、わからなかった。

 とりあえず、自己紹介を書いてみる。
9月1日 くもり
 俺の名前は山岡貴志 年は35。仕事は小説家。
といっても、ぜんぜん食べていけなくて、アルバイトに明け暮れる毎日。
一応、新作は書いているけれど、なかなかうまくいかなくて
正直、小説はあきらめようかとおもってます。

まさかその言葉が、本当に届くとは思ってなかった。


 少女は病院のベッドで上体を起こし、嬉しそうに日記を書いていた。
9月2日 {%clear_a%}
 驚きました。これってどういうことですか?
 とりあえず、返事書いちゃいますね。わたしの名前は北嶋ゆりえ。
年は17。趣味は読書。近くに大きなけやきの木があって、その下のベンチでいつも本を読んでいます。
で、早速読んじゃいました 「あこがれ」
新刊コーナーに平積みされてたんで、
すぐに見つかりました。
「21世紀期待の新人」ってすごいですね。
感想聞きたいですか?
え~っと、初恋の人へのまっすぐな気持ちが
書かれていて、思わず引き込まれてしまいました。

 病院の庭にある大きなけやきの木。その根元には3人掛けくらいの小さな白いベンチがあった。少女はそのベンチで読み終わった山岡の本「あこがれ」を閉じ、思わず微笑んだ。


新刊コーナー? なんで3年前の本が?

 山岡はいったん日記を閉じると、表紙をめくり中扉を見た。そこには「2001 diary」の文字があった。

 翌日、山岡は仕事の休み時間に日記に書き始めた。
9月3日 はれ
 いきなり変な質問だけど、今そっちは西暦何年ですか?
その本が出たのはもう3年前。
それ以来、ぼくの本は1冊もでていません。


 けやきの木の下のベンチに座った少女はとても嬉しそうに日記を書く。
9月4日 {%clear_a%}
 またまた驚きです。
 確かに今こっちは2001年。三年先にいる人と交換日記してるなんて、すごく不思議。
 でも、とてもステキなことだと思います。
 新作、すぐに読めないのは残念ですけど
あきらめずに書いてください。楽しみにしてます。



 少女の言葉に励まされた山岡は「不完全犯罪」というミステリーを書き上げた。
 しかし、パブのカウンターで、山岡に渡された原稿を読み終えた編集者の川本は、深くため息をついて言った。

「こういうのを書けば、うけると思ったのか?」
 タバコを取り出す川本。

 返答に困る山岡
「いや、別にそういう訳じゃ...」

 川本はタバコの煙を吐き出すと、その言葉を遮るように、
「今のお前には本当に書くべきことなんてない」
と言った。
 「・・・違うか?」

 山岡には返す言葉がなかった。

9月5日 くもり
 当分、新作は出せそうにありません。自分
には才能がない。そう考えると不安で死にたくなります。
これは、ものを書く人間じゃないと分からないことかもしれないけど。

 夜道をアパートへ戻る山岡の足取りは重かった。

9月6日 {%clear_a%}
 死にたいなんて、簡単に言わないでください。
 別に隠してた訳じゃないんですけど
私はいま病気で入院中です。

 点滴をしながら廊下を歩く少女を突然痛みが襲う。立っていられなくなり、壁に寄りかかって苦痛に顔を歪める。

「・・・病気?」
 日記を読み終えた山岡の顔が曇った。

 翌日、少女はベッドの上で、春に発売された宇多田ヒカルの「DISTANCE」を聞いていた。母親がやってきて「ゆりえちゃん、具合はどう?」と聞かれ、「大丈夫」と答えるが、表情は浮かない。
9月7日 くもり
 昨日は軽々しくあんなこと書いて、ごめん。
 毎日、治療大変だね。ゆりえちゃんはほんとうに強い人だと思いました。
 それに比べれば、自分が書けないつらさなんてすごくちいさなことだなって

 山岡は電車の中で彼女の病状を思った。少女との交換日記につまらない愚痴を書いてしまった自分が恥ずかしかった。

9月8日 {%clear_a%}
 心配かけてすいません。私、そんなに強くないですよ。
 山岡さんの書けないつらさ、私には想像つかないけど。
 でも、私、言葉ってすごいと思います。
 どんなに遠くにいてもちゃんと届くから。
 時々思うんです。もしロケットに小説家が乗ってたら、
 宇宙の美しさをなんて伝えるんだろうって。
 きっと私には、思いもつかない言葉なんじゃないかって。
 だから山岡さんももっと伝えてください。
 言葉を、もっといっぱい。

画像 いつものベンチで夜空を見上げ、微笑む少女。

 公園のブランコで夜空を見上げ、少女の言葉を噛み締める山岡。彼女のためにも小説を書きたい。

 翌日、アルバイトの作業現場に川本がやってきた。
「え、お前の会社で?」
「ああ…、うちの営業なんて、お前には酷な話かもしれないけどな」
「いや、それは有難いけど。…でも、小説書くには今の方が。また新しいの書こうと思ってさ。今度こそ、」
その言葉は川本に遮られた。
「山岡、もういいだろ?もう35だぞ。そろそろ次の人生考えた方が良いって。面接の日が決まったら、すぐ連絡するから。」
 川本は山岡の肩をポンと叩いて去っていった。

 やる気になっていた山岡に、現実は厳しかった。

9月9日 くもり
 新しい仕事が決まりそうです。たとえ小説を書けなくなっても、くさらずにがんばりたいと思います。
 いつも励ましてくれるゆりえちゃんのためにも。
だからゆりえちゃんも早く病気を治して元気になってください。


 3年前のその日、少女は看護師に付き添われ車椅子で検査室へ入っていった。少女の腰に消毒薬が塗られ、看護師が骨髄に注射針を刺した。少女は苦痛に顔を歪めた。
9月10日 {%clear_a%}
 お仕事決まってよかったですね。わたしの方はあまりいい知らせはありません。
 山岡さんは骨の痛みって感じたことありますか?
 はじめてこの検査を受けたとき、痛くて涙が止まりませんでした。
 でも今はもう涙なんて出ません。
 それでもときどき悔しくて泣きたいときがあります。
 わたしだって学校に行きたい。
 普通に友達と遊んだり、恋をしたり、そういう当たり前のことをしてみたい。
 そう思うと悔しくてたまらないんです。

 すいません。今日はちょっと弱気です。

 山岡は、複雑な表情で電車の中ではしゃぐ女子高生たちを見ていた。


 彼女の今日の日記は、まだ終わりではなかった。病室から窓の外の夕暮れの曇天を見あげ、ちょっと躊躇していた少女は、日記の続きを書き始めた。
 私の命はもってあと1年だそうです。
 前に、死ぬなんて簡単に言わないで、なんて言ったけど、本当は私も何度も口にしてます。
そこに楽になれるドアがあったら迷わずあけて飛び込みたいって。

すいません。しばらく日記はかけません。ごめんなさい。

 日記を書き終えた少女は再び曇天の空を見上げると、少し唇を噛んだ。


 それから9日、交換日記は途切れたままだった。山岡は少女が入院した愛美総合病院を訪れた。
 しかし、少女が今どうなってるのかを尋ねる勇気はなく、入り口の前で佇むだけだった。
9月18日 はれ
 その後具合はどうですか?
 心配だけど無理に返事は書かなくていいよ。
 でも、一つだけ言わせてください。
 僕は、ゆりえちゃんがあと一年しか生きられないなんて、信じません。

 この日記を書き始めた頃、ぼくは自分を信じられずに、くさってました。
 でも今はゆりえちゃんのおかげで、前向きに生きることの大切さを知りました。
 人には人を変えられる力がある。

 そのつらさは分からなくても、その人を信じて元気を与える力がある。
 だからぼくは、ゆりえちゃんが元気になることを信じます。

 ベッドに横たわり、山岡の言葉に複雑な思いの少女。
 山岡はアルバイト先の作業現場で少女のことを思っていた。

9月19日 {%rain_a%}
 励ましの言葉、ありがとう。
 わたしももうすぐ自分が死ぬなんて信じられません。
 でも、今は奇跡を信じることもできないんです。

 小説、書き続けてください。わたしの分まで夢を
叶えてください。山岡さんに出会えてよかった。
 最後にいい思い出ができて・・


 山岡は夕暮れの波止場で日記を読んでいたが、
「…なに言ってんだよ。…最後って何だよ。」
と少し怒ったようにつぶやき、万年筆を取った。


 少女が日記を閉じようとした時、余白部分に山岡の黒い字が浮かび上がってきた。

明日、君に会いに行きます。
 僕にとっては明日。
 ゆりえちゃんにとっては3年後の明日。
 約束だよ。絶対に忘れないで。
 3年たってもゆりえちゃんはきっと生きてる。
 だからぼくらは必ず会える。奇跡を起こすのは神様じゃない。
 自分だよ。

 2004年9月20日
 病院の白いベンチに3時。

 2004年9月20日、病院の白いベンチに3時...。

 日記に書かれた最後の文字を読むと、少女は少し戸惑ったような表情を浮かべた。

 9月20日の午後、山岡は就職面接を受けるため、川本の勤める出版社を訪れていた。
 一人、会議室で待っていると、川本が入ってきた。

 「山岡悪い。部長、30分ぐらい遅れるみたいなんだ。」
 「そうか…」
 「ごめんな」

 山岡は時計に目をやると午後2時を5分ほど過ぎていた。
 3年前の同時刻、少女はベッドに横たわり時計を見ていた。彼女の顔には苦悩の色が浮かんでいた。日記の向こうの世界の山岡さんはもうすぐ3年後の自分に会いにくる...。

 「川本!」
 「ん?」
 「すまん」
 「おい山岡、どうしたんだよ!?」

 山岡は駆け出した。病院のけやきの木の下のベンチに着いた時、ちょうど3時になっていた。
 そしてベンチに腰掛けて少女を待った。

 その日は風が強く、けやきの木は大きく葉を揺らしていた。山岡の耳に入ってくるのはけやきの枝のざわめきとヒヨドリのさえずりだけ。少女が来る気配はない。

 彼は少女を待ち続けた。再び時計を見た時にはすでに4時を回っていた。

 山岡はたまらずナースステーションへ行き、少女のことを尋ねた。少女のことを聞いた山岡の顔が曇った。

奇跡は...、起きなかった

 山岡は、力なく病院の廊下を歩いた。

彼女は、この2004年の世界には・・・、いなかった

 再び、けやきの木の下のベンチに腰掛けると、山岡は日記を開いた。
9月20日 はれ
 今日君に会えたよ。
ハタチの君は

 彼の万年筆が止まった。しばらく躊躇した後、再び書き出す。

9月20日 はれ
 今日君に会えたよ。
 ハタチの君はすごく元気だった。
 もうすっかり病気も良くなって。僕らはたくさん話をしたよ。
 すごく楽しくて。いつのまにかいつのまにか日が暮れてて

 山岡の涙がひとしずく、最後に書いた「て」の文字の上ににこぼれる。
 万年筆で書いた「て」の文字がにじんだ。
 3年前の同時刻、同じベンチに座っていた少女は山岡が涙を流していることを知った。

「…うそつき」
少女はそうつぶやくとペンを走らせた。

よかった。生きているんだね、わたし

 少女の目にも涙がいっぱいに溜まっている。

 しばらく、少女の字を見つめた後、山岡は続けた。
そう。生きてる。
 これから先もずっと。
 だからゆりえちゃん信じて欲しいんだ。
��年後の今日、ここで僕と会えることを。
信じていれば必ず会える。
必ず

画像 山岡の目も、少女の目も涙でいっぱいだった。

 ベンチの左側に座っいてた山岡は日記をそっと閉じると自分の右側に置いた。
続いてベンチの右側に座っていた少女が日記を自分の左側に置いた。

画像

 自分の右手に何かが触れたことに気づいた山岡が日記に目をやると、手の上に少女の手が重なっていた。おそるおそる視線を上げると、そこには目に涙を溜めた少女がいた。

画像 ベンチの真ん中に置かれた1冊の日記に手を重ね合わせ、二人は見つめあっていた。
 そして、少女は3年後の山岡に会えた喜びに微笑んだ。

 目前の出来事が信じられない山岡が再び自分の右手に目をやると、そこに少女の手はなく、日記も忽然と消えていた。

 一人呆然としてベンチに佇む山岡。

 僕はずっとそのベンチに座っていた。しばらくして、やっと気づいた。

 アパートに戻ると机に向かって万年筆を走らせる山岡。

 ぼくには書くべきことがある。伝えるべきことが。

 彼が書き始めた原稿のタイトルは「過去からの日記」だった。
 拝啓、北嶋ゆりえさん
 僕が今ここにいるのは君のお陰です



 …半年後。

 大手書店で山岡貴志のサイン会の準備が進んでいた。
 棚には「過去からの日記」の本が並ぶ。帯には“希望を信じ続けた感動の実話”のコピー。

 川本が本を手に取り「やっと見つけたな。書くべきことを」と言った。
 頷く山岡。
 「売り上げも上々でさ、編集長が第2弾を出さないかって…」
 「続きはないよ。この物語は完結してるんだ。俺の中では。」と山岡。


 春の日差しの中、けやきの木の下のベンチに座る山岡。

 それでも僕は今も時々、この場所を訪れる。
 まだ、心のどこかで、奇跡を信じているのかも知れない。


 目を閉じて少女のことを思っている時、木の葉のざわめきとシジュウカラのさえずりにまじって、近づいてくる足音に気づいた。目を開け、横を見やると、白いパンプスが見えた。彼女は山岡の前で歩みを止めた。

 山岡が視線を上げると、その女性はあの日記を携えていた。

 山岡は顔を上げ、信じられないといった表情でベンチから立ち上がり、彼女を見つめた。

 その時、奇跡は起きた。

 そこにいたのは紛れもなく、ハタチになった北嶋ゆりえだった。
 彼女はやさしく微笑んだ。

信じてたよ!ずっと。

 山岡も微笑み、そっとうなずいた。



 30分番組にも満たないショートストーリーですが、映画1本を観た気になるような出来です。

 3年間の時空をつなぐ日記が、3年の月日を隔てて同じ場所で重なった時、2つの世界がひとつとなり、3年後の日記が少女のもとに戻ったんですね。つまり少女が未来を取り戻したということでしょう。

 山岡の手元から日記が消えたのは、少女が日記を手放す出来事がなくなった。つまり死ぬ運命から開放されたことを意味していると思います。

 山岡がナースステーションに少女の消息を尋ねて行ったとき、まだ3年後の日記は彼の手元にありました。だからそのときはまだ奇跡が起きていなかったのです。

 これで「過去からの日記」の物語は完結しなかったことになります。きっと山岡は続編を書き、作家として生計を立てられるようになり、二人で幸せな人生を歩むことになるのでしょう。

 この物語、ネットで検索してみると、あくまでも西島秀俊が主役ですね。彼は真面目で寡黙でちょっと不器用な男というのが良く似合います。

 一方の蒼井優は、ブレイクしたのが2005年以降ですから、まだTVでの認知度は高くありません。私もこの頃は、ちょうどこの年まで出演していた“三井のリハウス”の女の子くらいしかイメージがありません。このドラマをリアルタイムで見た人の中にも「あの少女が蒼井優だったの?」って思う人がいるくらいです。しかしながら、2005年に7本の映画出演作品が公開されている上に、TVドラマでもレギュラー出演があり、この頃から既に超多忙だったようです。

 というわけで、改めて蒼井優出演として意識してみているので存在感がありますが、“脇役”として決して出しゃばった演技をしていません。

 それから、ちゃんとした台詞としては「うそつき」の一言しかないようです(「信じてたよ。ずっと..。」の部分は何か別のことを言ってます)。後は日記の朗読としてのモノローグだけですね。
 そのモノローグが最初は明るく、そして徐々に物悲しくなるところも見事です。

 世にも奇妙な物語はほとんどDVD化されていませんが、是非DVDにして欲しい1本です。
Veoh





2007年10月25日木曜日

【ドラマ】ガリレオ 第二章「離脱る(ぬける)」

 日曜日の「福山雅治のSUZUKI Talking F.M. 」期待どおり笑わせてもらいました。視聴者の感想(というか反応)があまりに期待どおりなのがおかしい!!

 というわけで、第二章も観ました。前回よりはかなり原作に忠実です。オープニングは見事に原作を再現してました。

 ただし、原作は犯人‐容疑者‐被害者がちゃんとつながっていて、そこから真犯人が割れたり、上村が息子の絵を“改ざん”するなど、展開に若干の違いがあります。
 前回のウンコに続くアイテム?は今回はイチボ(お尻)でしたが、原作はカレーパンです(笑)。あ、原作にはウンコは出てきません(爆)

 例によって詳細なレビューはちーずさんの「どらま・のーと弐」

 そのレビューの中で、
|ストーリー的には、商社に勤めるOLさんが4週間も行方不明のままと
|いうのがちょっと納得できず。

と指摘されていますが、原作は9月25日に発見されます。なぜ、テレビでわざわざ4週間なんて期間を設けたのかというと、単に放映日が10月22日からだったということかも知れないですね。何となく安直な^^;

 それから「伊達でございます」の伊達さんが、
子供嫌いを自称する湯川が、少年に以外な心遣いを見せるなど(“変人”の設定はどこへやら。第2話にして早くも“いい奴”に)、事件と謎解き部分を除けば、見応えのあるものとなっていましたが。にしても、事件に関わる怪奇現象を科学的に解明していくことをドラマの骨格としている以上は、それなりの内容が必要でしょう。この見応えと杜撰さのアンバランスさは、どういうことなのでしょう? 原作自体が、こんな感じなのでしょうか?
と指摘されていますが、これは明らかにドラマとしての“説明不足”ですね。

 湯川は“いい奴”になったわけでもなんでもありません。それをドラマは最後の“じん麻疹”で表しています。子供と対峙したのは相手のことを思ってというよりは、真実を追求したいがためなのです。ちなみに原作ではあの場面で竹田のおばさんが上村のウソをばらします。

 「むっつりスケベ」みたいな原作にない変なネタで柴崎コウと漫才させるよりは、そういう設定部分がきちんとわかるようなドラマ作りをして欲しいところですね。

 それから、樹脂製の靴底の破片を見つけていきなり数式を書き出すのはちょっと・・・^^;
 ドラマの作りとしても前回よりはかなりおとなしめになってます。

 観終わった後、「短編を1時間ドラマに無理に膨らませている気がする」という意見で私と娘は一致しました。それでも十分面白いですけどね。

 さて、第三章は「騒霊ぐ(さわぐ)」、第四章は「壊死る(くさる)」と続きます。
 個人的には「転写る(うつる)」が単なる科学検証だけではなく、ミステリー要素があってお気に入りですが、内容的にテレビ化は難しいかも?「爆ぜる(はぜる)」も是非やって欲しいですね。

 まぁ、原作が短編としてはこれまで11話しか発表されていないので、オリジナル作品を絡めない限りはほぼ全作放映されるのでしょう。


予知夢 (文春文庫)

2007年10月23日火曜日

【映画】変身:蒼井優ファンのみおすすめ?


 東野圭吾のベストセラーミステリーを映画化。公開は2005年、「男たちの大和/YAMATO」とほぼ同時期。まったく話題になった記憶がない(笑)

 映画を評価するとなると、かなり微妙。点数を付けると平均以下しか付けられないかも知れない。特に原作を読んだことがある人が期待して見ると、かな~り落胆することになるだろう。

 とにかく演出がこれでもかって外しまくっている。主人公のジュンこと成瀬純一(玉木宏)とヒロインのメグこと葉村恵(蒼井優)の二人の交際を回想するシーンが韓流ドラマかコメディかというくらいチープだ。わざわざイカ墨スパゲッティ食わすな!!(爆)

 そして、ドラマはまるであの大映テレビが製作した「赤いシリーズ」のようなノリで進行していく。←って、わかる人にしかわからないか?

 もしかして、この映画のターゲットは韓国だったのか!?

 原作は、自分の脳が誰かに侵されているという恐怖を描いた一人称小説。読者は純一の葛藤と恐怖を手に取るように感じることができる。そういう小説の映画化だからモノローグは必須だと思うのだが、この映画にはほとんどモノローグが入らない。

 もちろん、モノローグを入れない映画の方が主流だが、純一の心理を十分に描けないならば入れた方が自然な気がする。それに小説にもないような説明を医師に喋らせるよりは、純一自信が語った方が説得力があったし、感情移入もできたと思う。

 そうでなければ、純一がもっと葛藤し苦悩するシーンを入れるべきなのに、なんだかすっかり冷静に成り行きを受け入れているような?

 だいたい外見で異常とわかる人間を客観的に見ながら感情移入するのは無理だ。

 それが、あろうことかラストに葉村恵のモノローグが入り、ご丁寧にも思いっきり映画を台無しにしてくれている(苦笑)

 原作は予定調和みたいに話が進む中で、最後の最後に読者を「あっ!」と言わせるようになっているのだが、メグの動作でそれらしい暗示はあるものの、原作読者でなければ「もしかしてこれ?」というくらいしか理解できない。

 音楽も、これ本当に崎谷健次郎なのかと思うくらい酷い。作品の中では音楽も重要なテーマのひとつを占めているというのに。

 サスペンスとして捉えると原作をうまく映像化できないと考えて純愛路線にしたということ?
 テレビの2時間ドラマとして観ればまぁまぁかも知れないが、それでも途中退屈になって高速再生をしたくなった。って、テレビの2時間ドラマって普通見ないもんなぁ...

 そんな映画を何とか最後まで見れたのは、やはり蒼井優の演技だった!(爆)画像

 玉木宏も悪くはなかったが、前述のとおり感情移入が難しい役なのと、体躯が良すぎて本来内気でおとなしくスポーツもしない青年には見えない。あとは釈由美子、少なくとも一体感は感じられなかった(謎)

 蒼井優は、序盤はとっても明るい女の子でいつも喋りまくっている。原作の葉村薫は暖かい感じの女の子なので、演出家がちょっと解釈を取り違えているのではと思う。前半、とにかくマシンガンのようにいつも喋りまくるが、本来は普通に会話しているのに純一が鬱陶しいと感じるのだが、これでは最初から鬱陶しいかも?(苦笑)

 そして原作では恵の重要な顔の特徴であるソバカスがほとんどわからない(一応あることにはなっている)。ただ、これについては不自然なメイクをしたらそれこそコメディになるだろうし、ソバカスがある女優を探すよりは、恵という難しい役をこなせる蒼井優を起用したのは正解だろう。

 某映画批評サイトで蒼井優がミスキャストだと書いているが、まったく思慮がない批評だよ。つーか、このサイトの批評ってプロ気取りのわりにはまともに映画観てる奴の感想とは思えない。

って、理屈はともかく葉村恵を演じる蒼井優が超可愛いのだ(ぉぃぉぃ

 もともと原作のメグが「美人じゃないけれど可愛い、少女のような部分がある」という設定だが、本当に蒼井優にぴったりだと思う。

 前半のキャピキャピで喋るまくる蒼井優も「こんな彼女がいたら幸せだろうなぁ」と思うくらい可愛い!!
 いやぁ、私にこんな彼女がいたら、例え脳が他人に支配されても本能が愛してしまうと思うぞ(爆)

 中盤は純一に虐げられてついに里帰り。会いたくなってアパートを訪ねると自分の合鍵が使えなくなっていてショック。その部屋に担当医だった橘(佐田真由美)が合鍵でて入って行き、さらにショック。ストーカーばりにゴミ捨て場にあったスケッチブックを持ち帰る。

 家でジュンのスケッチブックに書かれた自分のデッサンを見て感傷に浸っていると、橘が行方不明とのニュースが流れてジュンが殺したと確信して…するなよ。自分を信じてと言うわりにはそっちは疑いなしか?(苦笑)…スーパーガールに変身!

「私、行かなくちゃならないの!」と家を飛び出す。ジュワッチ!(違

 ここからは怒鳴られても叩かれても蹴られても泣きながらジュンに一途に奉仕するメグ。おお、同じ大映テレビ製作でも「赤いシリーズ」ではなく「スチュワーデス物語」だったのか!!(爆)

 ラストの泣き喚くシーンもさすがは蒼井優。これだけ愛されながらわずかな他人の右脳のために自分の脳を制御できないジュンはヘタレか!?

 つーか、私が優ちゃんにこんなに愛されたら、例え脳が他人に支配されても本能が愛してしまうと思うぞ←もういい!

 というわけで、とても可愛い彼女モードの蒼井優と渾身の号泣シーンが見たいかたは是非。その目的で観るなら損はありません(笑)

 ところで、この映画の蒼井優はかなりふっくらしてるんですが、その前後に公開されている「亀は意外と速く泳ぐ」や「男たちの大和/YAMATO」ではそうでもない。もしかして役作りのために体重を増やしたのだろうか?

 だったら凄い!!
 つーか、このくらいふっくらした優ちゃんが一番可愛いんですけど{%heart2_a%}




変身

2007年10月22日月曜日

イタ飯は楽しく!

 一日中穏やかな天候だった日曜日の夕刻、私たち家族はカーステレオから流れる「福山雅治のSUZUKI Talking F.M. 」の洒落たトーク(違に耳を傾けながら、国道17号線を北上し荒牧町にあるイタリア料理店、ボナ・フォルケッタ(Buona Forchetta)へ向かった。

 ボナ・フォルケッタ(Buona Forchetta)は私たち家族が行った市内のイタリアレストランの中ではコスト/パフォーマンスが最上の部類に入る。ディナーセットだと1500円相当で前菜、パスタ、デザート、ドリンクを自由に組み合わせて食べられる。個々の価格を合算した場合、約4割引きくらいになる。

 店についたのは午後5時頃。夕食にはちょっと早い時間だが、それには理由がある。この店の唯一の欠点は調理と給仕が遅いこと。店が混んでから入店すると簡単には食事にありつけない。空いているうちに店に入れば、食事が来るまで親子でゆっくり語らいながら待てば良いだけだ。

 そして調理が遅いのは訳がある。仕事が丁寧なのだ。メインのパスタはもちろん、ドルチェやドリンクにまで手作りのこだわりが見える。その辺りはこちら様こちら様のブログを見ていただきたい。

 テーブルに通され、4人テーブルで私と家内、娘と息子が組になって対面で席に座る。私と息子は窓側に、家内と娘は通路側で対面する形となった。

 ウェイトレスが持ってきたメニューでディナーセットの組み合わせを決める。結構種類が多いので、なかなか目移りして決められない。それもまた食事前の楽しい時間だ。

 前菜は家内と娘はタコのカルパッチョ、息子は生ハムのサラダ、そして私は地鶏そぼろのサラダだった。タコのカルパッチョは、タコと野菜を乗せた皿が先ず出てきて、その上からウェイトレスが熱々のオリーブオイルをかけてくれる。生ハムのサラダはお皿がちょうど隠れるくらいの2枚の大きな生ハムの上に野菜やチーズが盛られている。私の地鶏のサラダは、小さな木製のサラダボウルの上に野菜が盛られ、その上に鶏そぼろが盛り付けられている。

 前菜はどれも美味で、そのうち全メニューを制覇したくなる。

 ドレッシングはアンチョビのイタリアンと和風が用意されており、お好みでかけるようになっている。そのドレッシングもファミレスのような既製品がペットボトルに入っているようなものではなく、手作りで金属の口金がついた洒落たガラス瓶に入っている。ちなみに私はアンチョビのイタリアンがお気に入りだ。

 メインは、家内が渡り蟹のトマトソースのリングイネ、これはかなりの美味。渡り蟹の味がトマトソースに絡まって深いコクがあり、絶品と言っても良い味わいだ。「次回もこれにする」と家内。娘はえびのトマトソース。息子は魚介の塩味のパスタ。ペペロンチーノがベースで魚介を和えて、からすみがトッピングに乗っている。ここのからすみのスパゲッティは絶品だ。私は魚介のクリームソースにウニを和えたパスタ。ウニのパスタもからすみに負けず劣らず美味だ。

 ドルチェは息子がサンデー、後の3人は冷やした焼きりんごにアイスが乗ったもの。サンデーは季節によって中のアイス(3品)が変わり、今は紫芋のアイスが季節感を出している。焼きりんごの方は秋季限定のドルチェ。私は前回はサンデーだったので、次回はケーキを選ぶこととしよう。

 ドリンクは家内はパインジュース、娘はバナナジュース、息子はレモンソーダで私は大好きなシナモンコーヒーを頼む。息子のレモンソーダがお洒落で、レモン果汁とガムシロップに氷が入ったグラスとクラブソーダのビンがセットでやってくる。自分でお好みで作るということだ。しかも2杯分は作れる。前回ロイヤルミルクティーを頼んだ時もミルクや急須がべセットでやってきて、2杯以上楽しむことが出来た。

 ドルチェとドリンクを楽しみながら食後の時間をゆっくり過ごせるわけだ。時刻は午後6時を過ぎて店の入り口にはかなり待っている人もいるのだが「食事はごゆっくり」と言う気遣いが見られる。

 私たちの席の斜め前方のテーブルには1組のカップルが来ていた。その席は通路を挟んで向かい側にある2人用テーブルで、4人席とは90度テーブルの角度が違っている。したがって私の方からは奥の席に座った女性は右斜め前45度くらいから、男性は左斜め後ろ45度くらいからの角度で見えている。

 見た感じは、そんなに若いカップルではない。おそらくは30代か。女性は特に美人というわけでもなくブスというわけでもなく、お洒落をして来ているわけでもない。普通に夕食を食べに来ているという雰囲気。おそらくは子供のいない夫婦ではと思う。

 リーズナブルな値段でちょっとだけリッチな夕食をゆっくり食べられる。そういう店にふさわしい客層と言えるカップルだろう。

 そのカップルに驚愕の事件が起きたのは、私が食後のシナモンコーヒーを楽しんでいる時だった。

 カップルのところにウェイトレスが前菜を持ってきた。男性の前菜が何かはわからないが、女性は私と同じ木製のサラダボウルに野菜が盛られていた。おそらくは私が食べたサラダと同じメニューだろう。そして女性はテーブルにあったドレッシングを持つと、いきなり口金を引き抜いた!!

 「え?」

 思わず、私は目が点になった。ドレッシングの瓶には口金が付いた金属の蓋が被さっていて、その先端に黒い樹脂のキャップが付いている。当然ドレッシングをかけるには先端部のキャップを外すのだが、その女性は口金ごと引き抜いたのだ!

 一応言い訳をしておくと(笑)、別に彼女をストーキングしていたわけではない。可愛い可愛い愛娘の方を向いて話をしていると彼女が自然と目に入ってしまうのだ。

 男性の方が慌てた様子で彼女になにかを話しかける。身振り手振りで上のキャップだけを取るんだと説明しているようだ。すると彼女は照れ笑いを浮かべながら取れた口金を再びドレッシング瓶の蓋に捻じ込み始めた。

 「斜め前のテーブルの女性、ドレッシング瓶の蓋を破壊したよ」と家内に耳打ち。

 家内もその女性に目を向けた時、彼女はやっと口金を蓋に捻じ込むことに成功していた。今度はちゃんと先についた黒い樹脂のキャップを外した。手に持っていたのはアンチョビのドレッシングだ。アンチョビのドレッシングと聞くと「さかな臭いかも?」と思う人は多い。彼女もきっとそう思ったのだろう、ドレッシングの香りを嗅ごうとして、勢いあまって今度は口金を鼻に突っ込んだ。

 「え?」

 思わず、私たち夫婦は目が点になった。点の数が2つから4つに増えた。

 「いま、口金を鼻に挿したよね?」と家内が口に出すと、異常を察知した子供達が思わず後ろを振り向こうとしたが、冷静な常識人の私が何とか子供たちを制止した。しかたなく子供たち二人してそーっと窓に顔を向ける。暗くなった窓にその女性の姿が反射して映るからだ。

 その私たち家族の注目を一身に浴びていた女性は、サラダの上で勢い良くドレッシングの瓶を振っていた。かなり近距離で瓶を振っていたので、サラダの中に口金が突きささりそうだった。

 家内小声で実況するので子供たちも爆笑。もちろん振り返れないので前を見て笑うものだから、私の背中側の家族が怪訝そうな顔をしていたようだ。

 おかげで実に楽しい夕食のひと時を過ごせた。やはりイタリアンレストランには豪快な女性が似合う。陽気なイタリアンレストラン、万歳!(何か違う?)

 願わくば、次回来店までにドレッシング瓶が洗浄されることを!

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イタリアンのシンプルレシピ―簡単で毎日おいしい、マンマの料理がお手本です。 (オレンジページブックス)