2007年11月22日木曜日

【映画】亀は意外と速く泳ぐ

 スウィングガールズでブレイクした上野樹里が主演し、「トリビアの泉」を手がけた三木聡の監督作品ということで、劇場公開前にかなり話題になった作品。公式サイトではDVDにも収録されているショートフィルム ‐ 亀に水中モーターを付けて泳がせるものと人間が犬用の服を着るものの2本‐が事前に公開されていたが、結局本編とはまったく関係なかった(爆)

 その作品中で一番気にっているのはこのシーン。
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 海岸に面した空港に隣接する公園、レミオロメンの曲「南風」の軽快なリズムに乗って、片倉スズメ(上野樹里)がフランスへ旅立つために空港へ向かい歩き出す(見えている空港が明らかに羽田空港なのはナゼ?)。カメラはスズメのキャスターが付いたトランクを追う。そのトランクの下の路面に次々と出演者名が現れる。公園の端に行き着いたスズメが振り向くと同時にカメラが視点をスズメの上半身に移すと、背後を横切る着陸態勢のジャンボジェットと差し込む陽光・・・。


 一番好きなシーンがエンドクレジットで悪いか?(爆)

 しかも樹里ちゃんの雰囲気も実に晴れやか。唯一トランクに張られたステッカーがダサダサだった頃の名残りになっているだけ(笑)

このシーンが滅茶苦茶カッコイイ!

 最初は合成のワンカットで撮影したシーンだとは思わなかった。出演者名とジャンボは後から合成したんだろうと思っていたが、DVDのメイキングを見ていたら、本当に城南島海浜公園のインターロッキング上に出演者の名前が書いてあって、上野樹里がその上を歩いて振り返った時に轟音とともにジャンボジェットが降りてくるから驚いた。

 まぁ、この映画はCGどころかハイスピード撮影(=スローモーション)さえ出来ないカメラ(ほとんど民生品)を使って撮影されているというから驚く。

 ゆるい映画に計算されつくしたエンドクレジット。なかなか洒落ている。

 音声解説付きで観ていると台詞は脚本どおりでアドリブはほとんどないらしい。役者がアドリブを考える為に空く“間”を監督が嫌ったとのこと。
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 それだけ、全体構成は監督が掌握し計算して構成されている。ストーリー(あってなきが如しだが)に直接関係ない無駄無意味そうなシーンも計算されているので、単なる小ネタかと思っていたシーンが伏線だったりする。一方で理不尽なギャグが何のフォローもないまま終わることもある。個人的にはこういう理不尽系なネタは大好きだ。

 その他にも好きなシーンを上げると...、

・有馬記念で200万円ゲット!
・スズメVS加東先輩in喫茶店
・韮山VSクジャクin福引
・クギタニ家のトイレが詰まった!
・スズメ、髪から放電←地味だけどかなり好き

などなど。
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 一発ネタのようで、同じ個所で何度も笑ってしまうのは、脚本の面白さと演技の巧さの賜物。

 要潤は眼は死んでるし、変な笑い方するし、蒼井優もキレまくってるし、そして主演の上野樹里は実にやる気なさそうだし、一癖も二癖もあるベテラン俳優陣に囲まれて若手俳優がかなり良い味を醸し出している。

 ゆるい映画と言ってもきちんと計算されていることは、当たり前と言えば当たり前だが、三木監督にすっかり騙されたような気分になった。そこそこラーメンを作っているラーメン屋のオヤジの実力を見せ付けられた思いだ(笑)

 三木聡監督作品は、現在「転々」がちょうど公開中。会社帰りに時間が取れたらぜひ観に行きたいと思う。


亀は意外と速く泳ぐ デラックス版

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