2008年6月26日木曜日

ドラマ『おせん』終わった。

 色んな意味で終わったドラマ。つーか、ずいぶんと原作を陵辱して台無しにして終わってくれた。最終話はドラマとしても問題投げっぱなしで回収なし。

 蒼井優見たさに見てましたけどね。途中から(というか最初から?)ストレスがたまるドラマでした。見なきゃいいんだけど(つーか、中盤あたりからTVチラ見状態だったけど)、蒼井優が好きだし、コミック「おせん」も気に入ったからつい見てしまう--;

 これはもはや、コミック「おせん」は原作ですらない。ドラマ「おせん」とコミック「おせん」は、その思想が正反対なまったくの別物。

 ドラマ「おせん」の前提は、「一升庵」は古い暖簾を守る老舗 → そういう店は廃れていくに決まってる → 経営は苦しいに決まってる → 女将も色々と悩んでるに決まってる

 そういう極めて安易でステレオタイプな固定観念でストーリを組み立てているとしか思えない。
 一般視聴者も同じだと思ってるから共感が得られて視聴率が取れるとでも思ったのか?



・・・アホですね。



 知る人ぞ知る名店「一升庵」の若い女将「おせんさん」こと半田仙は大酒飲みで天然ボケで浪費家。なのに店が繁盛しているのは一重におせんさんのおかげ!?

 コミックはその理由を知りたくて、ワクワクしながら読んだんだけどな。ドラマにはそういう要素が全然ない。

 コミック「おせん」の人気についてドラマ製作スタッフは分析したのだろうか?
 ドラマ制作スタッフは「一升庵」のような店が繁盛していること自体が気に入らなかった?

 たぶんそうだ。今時そんな店あり得ないって思ったんだろう。

 つーか、味の素がスポンサーな時点で終わっていたか?

 全話を通じて料理や料理人に対する配慮がなっていなし・・・味噌桶に土の上を歩いた草鞋で入ったり、料理人が外で包丁振り回したり、最終話は全部の料理を一度に出したり・・・げんなり・・・。客に出す料理でストレス解消してどーする?

 最終話ではガキとは言え、料亭の料理に平気でケチャップ!?それを注意もしないクソ親父。
 マナーの問題としても見ていて不愉快極まりない。

 さらに「北極グマは絶滅しても良い」とか「子供が味覚障害なのは共働きだから」とか、視聴者にまったく配慮のないセリフが炸裂。そのくせ、味覚障害の子供が料理にかけているのはケチャップ。マヨネーズは味の素の主力製品だから配慮しましたか、そうですか。

 だいたい、本枯節は絶滅危惧種だから保護しなきゃいけないのではなく、本物だからこそ価値があり、それを求める人がいる。だから薄利多売で大もうけにはならなくてもしっかり利益が出るビジネスになってるんじゃないですか?

 世の中の偽装食品事件って、本物の価値が認められているから起きてるんでは?
 まぁ、味の素だから出汁を全部「ほんだし」にしたいんでしょうからね。

 最終話で一升庵を潰そうとした会社、あれは味の素そのものだね。だから、脚本としても一発逆転で一升庵の勝ちにできなかったわけだ。
 味の素という会社のイメージ、非常に悪くなりました。


 日ごろは酒のんだくれて朝風呂入ってボケーとしているおせんさんが一升庵やそれに関わる人たちに問題が起きると別人のようにテキパキと解決してしまうようなベタでコテコテで痛快なストーリーの方が十分楽しめたと思うんだけどね。

 某ドラマ撮影スタッフ等と称する輩がマスコミに手を回して「ドラマの出来が悪いのは蒼井優のせい」みたいな情報をリークしていたようだが、一番の問題が演出や脚本といったスタッフ側にあるのは明らかだ。

 コミック「おせん」の作者、きくち正太氏が長期に連載を休止している理由が「ドラマ化にショックで創作意欲をなくした」というのもあながち嘘ではないらしい。あのコミックの名前を使ってこんなドラマを作られたらそりゃショックでしょう。「そういう風に思われていた」と思ったら執筆する意欲をなくしてもおかしくない。


 結局「おせん」がドラマ化されて良かったのはコミック「おせん」がとても面白いことを知ったことと、蒼井優ちゃんの綺麗な和服姿が見れたってことの2点だけ・・・かな。

【追記】
こちらさんで鋭い突っ込みが入ってるでやんす。作者の意図も考えずに無造作&断片的にエピソードを詰め込むとこういう風にしか見て貰えないでやんすよ。

こちらは初回レビュー。落差に思わず自爆!!





おせん 14 (14) (イブニングKC)

2 件のコメント:

  1. クルトンパパ2008年6月26日 19:21

    最終回、録画しているけどまだ見て無いんですよ。
    ずっと見てたから、当然見ますけどね。
    本枯れ節って、いい大人が恥ずかしいんですがよく知らなかったんですけどね。
    この番組、内容は違和感も一杯有ったんですが、出てくる簡単な料理がね、ちょっとおいしそうで見てました。
    何より、蒼井優ちゃんが最高に可愛く、綺麗だったから^^
    録画してるのに、毎回オープニングのあの、旗を振ってる奴は、絶対に飛ばさずに見てましたし。
    女将になったときに着てくる着物は良いものでした。
    コミック全然読んでないんで、こんなものかと思ってましたが、結局、小説もコミックも、原作をドラマは越えられないと言うことですかね?

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  2. さとし@快投乱打2008年6月26日 21:51

    クルトンパパさん>
     私も「本枯節」という名前には馴染みがなかったんですが、若い頃出張で何度も鹿児島に行ったことがあって、その時地元の人が「鰹節は山川節が最高」と言ってたんです。
     その「山川節」こそが「本枯節」なんです。
     実際紹介された店は小さな店で「こんな店で美味しい鰹節売ってるの?」という雰囲気でしたが、それが本当に美味しいんですよ。製法もそうですが最高の鰹を使っているので、加工第一段階の生節でさえ超美味です。キュウリとマヨネーズで食べたら最高!(ぉぃ)
     ちなみに山川は背後に山が迫る海岸線の町なので、大きな生産工場なんて建設できないと思います。まぁ、ドラマの想定は枕崎なんでしょうけれど。
     「原作をドラマが越えられない」かどうか・・・越えるか越えないかは別として、原作に忠実な「のだめカンタービレ」や原作とは別世界を作った「Dr.コトー」など面白いドラマは沢山あると思います。ただ、原作を否定するようなドラマ化はするべきじゃないですね。

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